日本労働弁護団が批准を要求した「ILOハラスメント禁止条約」って? 遅れる日本のハラスメント対策

セクシュアリティや性自認に関する「ソジハラ」も問題だ

 LGBTへの理解が進んだとはいえ、性的指向(好きになる性)や性自認(心の性)を理由にした差別やからかいは後を絶たない。こうしたハラスメントは「SOGI(ソジ)ハラ」と呼ばれている。「SOGI」とは、「Sexual Orientation and Geder Identity」(性的指向と性自認)の頭文字を取ったものだ。  LGBT法連合会共同代表の池田宏さんによると、「ホモって気持ち悪い」といった発言や嘲笑がソジハラに当たるという。 「こうした言動は5~10年前まで許容されていました。今でも多くの職場で行われています。発言した本人は、特定の個人を攻撃したつもりではないのかもしれません。しかしカミングアウトしていないLGBT当事者はこうした発言を聞いて傷つき、強いストレスを覚えます。中にはソジハラに耐えられずに転職を重ね、待遇が悪化して貧困に陥ることもあります」  加えて、本人の許可なくその人のセクシュアリティを暴露する「アウティング」も問題だ。例えば、当事者が上司を信頼して打ち明けたところ、上司が飲み会で話してしまう、顧客に話してしまうといった被害が起きているという。  ソジハラは法案には盛り込まれなかったものの、付帯決議では、「性的指向・性自認に関するハラスメント及び性的指向・性自認の望まぬ暴露であるいわゆるアウティングも対象になる得ること、そのためアウティングを念頭においたプライバシー保護を講ずること」(※2)としている。池田さんは「付帯決議に基づいて、実効性のある指針を作ってほしい」と訴えた。

就活中のセクハラ、約半数が経験

 就活生へのセクハラも深刻だ。Business Insider Japanの竹下郁子記者は、同サイトで2月12日から継続中のアンケート調査の途中結果を報告。回答者660人中326人が就職活動中にセクハラを受けたという。OB訪問で酒を飲まされてホテルや自宅に連れ込まれるケースが多いようだ。面接中に「彼氏はいるの?」と聞かれたり、「結婚したら辞めるでしょ」と言われることもあるという。  竹下記者は「就活生が自衛するのは難しい」と指摘。こうした被害を防ぐためにも、まだ働く前の就活生もハラスメントの被害者に含める必要がある。 ※1労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実に関する法律第三十条の二 ※2女性の職業生活における活躍の推進に関する法律等の一部を改正する法律案に対する付帯決議(案)七2 <取材・文/HBO取材班>
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