さて、それでは頼みもしないのにやってくる任意売却業者に任せるとどのような事態に陥るのかという点について、良くある事例に触れてみたい。
「コンサルティング料が請求される」
何故か不動産売買手数料以外の名目で請求されるものがあり、「コンサルティング料」に代表されるような聞き慣れない名目での請求がしれっと上乗せされるパターン。
「期間内に売れませんでしたが、良ければ弊社で買い取ります」
このようなフレーズで結局、任意売却業者自体が安く買い叩いて持っていってしまうというパターン。このパターンではまともな売り出しすら行っていないという事例も。
「購入希望者の求めに応じ過度な割引で叩き売られる」
前記2例の悪徳手口以外の比較的まともな業者であれど、一定期間内での慌てた処分となるため、購入希望者の求めに応じた過度な割引で叩き売ってしまうパターンは多い。
市場原理からしても売るための価格競争はどうしても値下げの方向であるため、仕方のない部分もある。
とは言え、任意売却業者は短い期間に売買手数料だけ抜ければ良いとして、取引成立のためにかなり無茶をする場合も。
中には半値近くに値引きが行われた事例、本来購入希望者が負担すべき手数料や諸費用を債務者が負担させられたという事例も耳にする。
このような業者が頼みもしないのに“しめしめ”とこぞってやってきてしまうのであれば、不動産執行情報の掲示をやめれば良いと考える方もいるだろうが、これはどれだけいるかわからない債権者に対する唯一のアプローチであるため、そう簡単に廃止というわけにはいかない。
また、安く売られてしまうのであれば債権者(多くは銀行)が任意売却を認めないのではとの疑問を抱く方もいるかもしれないが、こちらは銀行側が貸付の際にまともな審査を出来ていないのと同様に、債権管理もままならないようで取引事例も見ずに許可を出してしまっている場合が多い。
突然、人生の危機的状況に陥ってしまった際、大きな絶望感に苛まれた際、冷静でまともな判断が出来る人がどれだけいるだろうか。
そこへ頼みもしないのにやってくる業者。彼らは果たして善意の団体なのだろうか――。
「頼みもしないのにやってくる業者は無視してしまって構いませんからね」
債務者と顔を合わせる度にやんわりと執行官から告げられるこの言葉は、果たしてどれだけの効果を上げているのだろうか。
<文/ニポポ(from トンガリキッズ)>
2005年、トンガリキッズのメンバーとしてスーパーマリオブラザーズ楽曲をフィーチャーした「B-dash!」のスマッシュヒットで40万枚以上のセールスとプラチナディスクを受賞。また、北朝鮮やカルト教団施設などの潜入ルポ、昭和グッズ、珍品コレクションを披露するイベント、週刊誌やWeb媒体での執筆活動、動画配信でも精力的に活動中。
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