今回の犯人たちはバンラムン郡内とはいえ、パタヤ・ビーチから直線で5キロも内陸の辺りに潜伏して詐欺を働いていた。しかし、潜伏どころか、ステージの上でスポットライトを浴びて活動していたと言っても過言ではなかった。おそらく、バンコクは日本人が多い上に家賃と物価も高いから、それから奴隷として働かせている連中を逃がさないため、といった理由でこのように辺鄙な場所を選んだのだろう。
ビーチ沿いの物件ならまだ怪しまれなかった可能性もあるが、その場合は家賃などはバンコクとあまり変わらない
しかし、逆になぜこんなところにという場所に15人もの日本人が集まって、外出もせずにコソコソとなにかをしていれば、そんなもの、誰だって通報するに決まっている。昔からタイ人のホテルやアパートなどの物件のオーナーは外国人が入居した際にはイミグレーションに受け入れの報告をする義務がある。近年、この報告義務が厳しくなり、よりオーナーは外国人入居者を注視するようになっている。
木を隠すなら森の中というが、この件に関しては真逆だったことで発覚して逮捕となったのだろう。タイ在住日本人は、実はこれは氷山の一角で、まだ複数の振り込め詐欺集団がタイ国内にいると噂している。
<取材・文・撮影/高田胤臣(Twitter ID:
@NatureNENEAM)>
たかだたねおみ●タイ在住のライター。近著『
バンコクアソビ』(イースト・プレス)