パタヤはタイ東部のチョンブリ県に位置するリゾート地であり、特別市だ。タイにおいては首都バンコクとここパタヤだけが特別市(バンコクは首都府)となっている。パタヤは厳密にはチョンブリ県内のバーンラムン郡の一部を指す。このパタヤと呼ばれるエリアだけに観光客が多いため、従来の行政方式では対応しきれなくなり、1976年に特別市となった。
この街はバンコクから東におよそ160キロほどで、車なら2時間もかからずに到着できる。特に欧米人に人気のある歓楽街を抱え、タイの玄関口であるスワナプーム国際空港からもタクシーや長距離バスなどで直行する観光客も多い。
元々はベトナム戦争時に、米軍兵士が休暇の際に訪れるビーチとして栄え、戦後は欧米人の一般客に注目されるようになった。そのため、今も日本人よりは欧米人に人気がある観光地だ。歓楽街はパタヤ・ビーチに沿って走るビーチ・ロードに集中し、その通りに並行して走るセカンド・ロード、サード・ロードにも今はバーなどが雨後の筍のようにできている。
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数年前から歓楽街が拡大し、奥へ奥へとバーが進出している
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パタヤの歓楽街の中心「ウォーキングストリート」が見ようによっては70年代の東南アジアを引きずった雰囲気を残している
歓楽街の様式も主に欧米人向けで、カウンターと席だけの簡易的なバー、ポールダンスをする水着女性がいるゴーゴーバーが中心になる。これらは売春と直結した飲食店であるので、日中も街中にはきわどい服装をした男女が目につく。バンコクから最も近いビーチ・リゾートでありながら、近年はバンコク在住の日本人家族が足を運びづらくなりつつあるほど、歓楽街は拡大していると言っていい。
パタヤと外国人が呼ぶときにはそんな歓楽街だけを指していることがある。しかし、パタヤ特別市があるバンラムン郡だけを見ても、実際にはパタヤと呼ばれるエリアは10分の1以下しかなく、居住者は郡全体ではタイ人の方が圧倒的に多いのは当然のことだ。外国人の大半はあくまでも観光客であるし、長期滞在者も観光ビザでいることが多いので、タイの法的に認められる在住者となると案外少ない。
これもパタヤと呼ばれるエリア内だが、ぱっと見は地方都市とほとんど同じ風景だ
特に日本人にもパタヤは人気とはいえ、「パタヤ=歓楽街」のために実際にパタヤに足を運ぶ観光客は、たとえば遺跡で有名なアユタヤと比べて少ない。パタヤ在住者となればなおさらだ。パタヤに暮らす日本人の多くが飲食店か旅行代理店をやっているようだが、それも数えるほどしかいないので、現地に住む日本人はみな顔見知りというほどである。
人気の歓楽街を抱えるものの、所詮はタイの地方都市のひとつに過ぎないのだ。歓楽街がある中心地から外れれば外国人の姿はあまり見かけなくなる。バンコクでさえ、郊外で暮らせば同じようなもので、近所の人からは「なぜここに外国人が?」という疑問から、ちょっとした有名人になることは多々ある。