「世間話」が苦手な人必見。上手に対話の口火を切る方法

 筆者がビジネススキルを向上させる演習をしていて、よく受ける質問に「相手との対話の口火をどのように切ればよいでしょうか」というものがある。相手との対話の場を設定するセットアップ会話をどう繰り出せばよいかという問題だ。

冗談を言うことは難しい

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 そこで演習参加者に、「相手との対話を、どのような話をしてからスタートしていますか」と質問すると、さまざまな答えが返ってくる。  世間話をする    天気の話をする  趣味の話をする  冗談を言う  いきなり本論から入る  しかし、これまでセットアップ会話をしていなかった人に、世間話をしてもらおうとしても、スムーズに話が出てこないことが少なくない。天気の話をしてもらっても、ぎこちなくなってしまったり、唐突な感じになってしまうことがよくある。相手の趣味を知っていれば、相手の気持ちをほぐすことに効果があるが、そもそも相手の趣味を知らなければ、趣味の話は繰り出せない。  冗談を言うことは、かなり難易度が高い。忙しい人で、いつも「早く結論を言え」と言っているような人に対しては、いきなり本論を話すことはよいかもしれないが、たいていの場合は、相手の気持ちの準備ができていないうちに本論を話すことになってしまい、相手の理解を促せなくなってしまう。  要は、世間話や天気の話や趣味の話のように、相手との共通点のある話をして、相手が身構えている状態を解きほぐし、冗談を言ったりして相手の気持ちを和らげることができる話法があれば、それを最初に繰り出せばよいことになる。  そして、できるだけ簡単で、誰にでもできて、不自然にならない話法があれば、効果が高まる。演習でこのように申し上げると、「そんな都合のよい話法があるのだろうか」という反応に接する。しかし、そのような方法があるのだ。

相手との接点を活用する

 筆者は20年来、各業界、各職位、各職務のビジネスパーソンに参加していただいて、演習を行なってきた。話の輪の中心にいることが多く、聞き手を引きつけることができている人の話法を分解すると、冒頭のセットアップ会話に特徴があることがわかった。それをモデル化すると、聞き手と自分との以前の出来事、接点を話すという共通点が挙げられる。  たとえば、以前に会っていれば、「○月にはミーティングを持たせていただき、ありがとうございました」「先日は、ばったりお目にかかり、少し話ができて嬉しかったです」「○年に一緒に仕事をして以来、ご無沙汰してしまっています」というように、過去に会ったときの出来事を話せばよい。  これを話すことで、聞き手は、「ああ、あのとき、こんなことがあったな」「それ以来のご無沙汰だな」というように、身構える気持ちを和らげることができる。では、以前、会っていなかったどうすればよいのか。
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出会うまでの経緯や思いを伝える
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