山陰自動車道・長門・俵山道路、通称「安倍道路」は約4000億円
一帯は人口も交通量も少ない山間部で、巨大な橋梁やトンネルの連続。
建設費は15㎞で約700億円(1㎞あたり約47億円)。「萩・三隅道路」に隣接する“第二安倍道路”のような「長門・俵山道路」(長門市)の工事もすでにスタート。ここも山間部が建設予定地で、工事費がかさむトンネルや橋梁の連続。この区間の
建設費も5.5㎞で約240億円、1㎞当たり約44億円にも上る。
愛知県や大阪府で「万博関連」の事業を請け負ったA氏はこう語る。
「ゼネコンも自治体も、『道路を造れる理由』を求めている。“忖度”というか、『文句が言われない公共事業』を探している。
結局、その費用は税金だから。他人のお金だからね」
“忖度道路”が生まれる背景には、国民の「無関心」がある。選挙も含めて、われわれも反省するところがあるだろう。
安倍・麻生道路<下関北九州道路>3000億円
安倍首相の地元山口と麻生財務大臣の地元福岡を結ぶ「下関北九州道路」は、塚田一郎前国交副大臣の忖度発言で”安倍・麻生道路”と呼ばれるようになった。108の地域高規格道路候補のうち国の直轄調査費がついたのはここだけで、政治力の産物と疑われている
安倍道路<山陰自動車道・長門・俵山道路>4000億円
安倍首相の父・晋太郎氏の故郷の山口県長門市から工事が進む「山陰自動車道・長門・俵山道路」。開通済の「萩・三隅道路」(長門市~萩市)とともに安倍道路の異名を持つ。人家が疎らな山間部を通り、橋梁やトンネルの連続で建設費は1㎞当たり約44億円
下関北バイパス
安倍バイパス<下関北バイパス>755億円
安倍首相の選挙区(山口4区)の下関市中心部から、父・晋太郎氏が推進して具体化した人工島・長州出島(安倍アイランド)に向かって北に延びる下関北バイパス。「大型船入港可能な国際港湾」を旗印に755億円も投じられた長州出島だが、利用率は低迷
二階バイパス<那智勝浦新宮道路>
二階俊博幹事長の選挙区(和歌山3区)を通る巨大バイパス国道「那智勝浦新宮道路」。建設費は15kmで約800億円(暫定額。2車線から4車線にした場合は約1200億円)。二階氏は紀伊半島一周道路の完成を訴えているが、自らの地元でいち早く巨大道路が完成した
江藤道路<九州横断自動車道>
父が江藤隆美元建設大臣の江藤拓元農林水産副大臣の地元(宮崎2区)で建設が進む「九州横断自動車道」(宮崎県延岡市~熊本県嘉島町)は人口が少ない山間部を突っ切る。費用対効果が明らかに小さい巨大道路は、江藤家2代の政治力の産物とみられている
米軍(久間)道路<西九州自動車道(佐世保道路)>1㎞200億円
米海軍佐世保基地の目の前に「佐世保中央IC」がある「西九州自動車(佐世保道路)」は、長崎選出の久間章生元防衛大臣と米軍に忖度した軍用道路とされる。市中心部を通るため、8.3㎞の建設費は1629億円、1㎞当たり約200億円に高騰した
竹下道路<尾道松江線>
中国横断自動車道・尾道松江線は竹下登元首相の故郷である「旧・掛合町」(現・雲南市)の近くにインターチェンジ(吉田掛合IC)ができたことから竹下道路と呼ばれる。直線状ではなく、くの字形路線となったのは政治力でねじ曲げられたとしか考えられない
中川・ムネオ道路<道東自動車道(北海道横断自動車道)>
親子ともに農林水産大臣を務めた中川一郎氏と息子の昭一氏の地元十勝では、道東自動車道がいち早く完成。一郎氏の元秘書から衆院議員となった鈴木宗男氏の故郷・足寄町にも延伸された
古賀誠橋<朧大橋>
古賀誠・元運輸大臣の地元(福岡7区)の「朧大橋」(福岡県八女市)は、古賀氏のおかげでできた「誠橋」(建設費63億円)と呼ばれ、未整備の道に突然県内最大のアーチ橋が出現する
取材・文・撮影/横田 一 写真/時事通信社
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