無知につけ込まれる外国人労働者。彼らを救うために元難民の支援者が辿り着いた「答え」<岡部文吾氏>

日本の横断歩道を渡る人々

bee / PIXTA(ピクスタ)

実習生支援の現場で見た「現代の奴隷制」の現実

 ついに改正入管法が施行された。早くも東京電力が廃炉作業への「特定技能」資格の外国人労働者を受け入れる方針を表明するなど、安倍政権、そして財界がなぜ入管法を改正を急がせたのかが如実にわかる事態となっている。(参照:HBOL)  まさしく、日本は、外国人労働者を喰い物にしているのだ。 『月刊日本 5月号』では、第2特集として「外国人労働者を喰い物にし続けるのか」と題して、一人の人間としてではなく、人権を無視して使い捨ての「道具」のように扱う日本の問題点を指摘し、共生への道を模索する記事を掲載している。  今回は、元ベトナム難民という立場から、実習生の支援活動に奔走している「福島外国人実習生・留学生支援ネットワーク」代表の岡部文吾氏へのインタビューを転載し、紹介したい。

「警察に被害届を出せ」と言い続ける日々

―― 岡部さんは元ベトナム難民の立場から主にベトナム人技能実習生、留学生を支援しています。 岡部文吾氏(以下、岡部):現在、私は技能実習生の監理団体に所属していますが、かつて福島県で実習生、留学生の保護・支援活動をしていたため、今でも個人的なサポートを続けています。2日に1回は相談の電話がかかってきて、個別に対応している状況です。  相談内容は会社とのトラブルが大半で、特に暴行を受けたケースが目立ちます。最近は電話に向かってひたすら「まず病院に行って診断書をもらいなさい。次に、その診断書を持って警察で被害届を出しなさい」と言い続ける日々です。この問題は警察とも相談しているので、最近はきちんと対応してくれるようになっています。  会社から逃げ出した後、行き場がなくて困っているというケースもあります。あるベトナム人の女の子は、実習生同士で喧嘩をしただけで会社側から「解雇する。帰国しろ」と脅され、実習先を逃げ出してきたと電話をかけてきました。真冬の北海道からです。  しかし「寒い。怖い。早く来てほしい」と凍えながら言われても、名古屋で電話をうけた私には駆けつけることができない。必死にあちこち連絡したところ、知り合いの記者がたまたま北海道に出張中だったため、滞在中のホテルで保護してもらうことができました。一方、喧嘩相手の女の子は同じ日に失踪した後、行方が分かっていません。 ―― 昨年来、入管法改正と相まって技能実習生や留学生の問題が盛んに報じられました。その後、何か変化を感じますか。 岡部:メディアの報道に触れた読者、視聴者が行動を起こすようになっています。先日、テレビ東京の番組で外国人実習生の問題が取り上げられた際、取材映像として縫製工場の様子が放映されたのですが、作業中の衣服に特定のブランド名が映りこんでいたのです。すると、それを見た視聴者がインターネット上で不買運動を呼びかけ、ブランド会社にクレームが殺到する事態になりました。  実際に実習生を酷使している縫製会社は下請けの下請けなのですが、元請けの一流企業にとってブランドイメージに傷がつくのは恐ろしいことです。こういうメディアの報道、消費者運動も企業の不正防止につながっていくと思います。私自身、これまで多くのメディアから取材をうけ、実習生や留学生の現状を伝えられたことに感謝しています。  ただその一方で、いくらメディアの取材をうけても、この問題を解決することはできないということも痛感しました。これは仕方のないことですが、メディアは問題提起をするだけで、国民は知るだけなのです。確かにその意味は大きい。しかし、それだけで問題解決には至らない。そこから問題解決に責任を持つ人が出てくるわけでもない。  だから、私は自分の責任としてこの問題を考えに考え、「これしかない」という解決策を見つけました。現在はそれを実現するために活動しているところです。
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外国人の無知につけ込み甘い汁を啜る連中
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月刊日本2019年5月号

特集1【消費増税凍結・衆参ダブル選挙へ】
特集2【外国人労働者を喰い物にし続けるのか】
特集3【楽天・三木谷浩史の光と影】