コインハイブ事件で検察側が控訴。一連の騒動、そして「Coinhive」とは何だったのか?

時系列で見る「Coinhive」と「コインハイブ事件」報道

 ここで「Coinhive」と「コインハイブ事件」についての報道を振り返ってみよう。ある程度大手のニュースサイトを中心に、2017年9月から2019年3月まで、どのような文脈で「Coinhive」と「コインハイブ事件」が語られてきたか追っていく。  まずは2017年9月、モロ氏が「Coinhive」を知った頃の報道から始めよう。

事件化する前の「Coinhive」報道

▼【2017年09月】 **【2017年09月29日】ZDNet Japan『サポート詐欺で仮想通貨を発掘させる攻撃発生–別の犯罪も』**  「Coinhive」を組み込んだサポート詐欺のページに誘導される攻撃を、トレンドマイクロが報告している。同社は、サイバー犯罪の撲滅のために国内外の組織や警察機関と密に連携している。 ▼【2017年10月】 **【2017年10月11日】ITmedia NEWS『話題の「Coinhive」とは? 仮想通貨の新たな可能性か、迷惑なマルウェアか』**  IT戦士として名が知られている岡田有花氏の記事。「賛否両論が渦巻いている」という説明のあと「Coinhiveを使うとどうなるのか――記者の個人ブログで、Coinhiveのコードを試しに埋め込んでみた」とある。  彼女が逮捕されていても、おかしくなかったわけだ。  「広告に代わる新たな収益手段になる」という声もある中「マルウェア開発者の収益源になっている」という問題も指摘されていると。彼女はのちに、多くのコインハイブ事件の記事を書くことになる。 **【2017年10月16日】CNET News『閲覧者のPCを無断でマイニングに利用するサイトが多数–5億台に影響の可能性も』**  「ブラウザのマイニングが主に、胡散臭い評判があるウェブサイトで発見されている事実には、さらなる理由があるかもしれない。こうしたサイトは従来、広告を通じて利益を上げるのに苦労しているので、試験的な取り組みやイノベーションに対して前向きだ」との解説が。  広告が掲載できないサイトで、代替マネタイズ方法として需要があることが分かる。 **【2017年10月22日】ASCII.jp『暗号通貨でひと儲け、ハッカーよりも怖い「内職」が横行か』**  「スキルの高い従業員が社内のサーバー・リソースを使ってこっそり「内職」に励むケースもある」と紹介。 ▼【2017年11月】 **【2017年11月01日】ZDNet Japan『「Android」で勝手に仮想通貨を採掘するアプリ、トレンドマイクロが警告』** **【2017年11月01日】ITmedia『スマホで仮想通貨発掘させる不正アプリ、Google Playで発見 トレンドマイクロ』**  トレンドマイクロによる「Coinhive」を利用したAndroid向けマイニングアプリの紹介。 **【2017年11月09日】マイナビニュース『Wannacryは終わっていない? – IIJが語るセキュリティ動向 (1) マルウェアの活動が目立った2017年』**  「Coinhiveは一見被害がないように見えるが、ユーザーのCPU処理能力を「盗む」という意味では一種のマルウェアと言える」と紹介。 **【2017年11月10日】日経 xTECH『FinTech?マルウエア?無断でスマホCPU使う謎のサービス』**  トレンドマイクロが、Coinhiveで仮想通貨を採掘していたマルウェアを発見したという記事。 **【2017年11月15日】マイナビニュース『知らないうちに仮想通貨マイニングに利用される「Cryptojacking」に注意』**  「gwillem’s labが11月7日(米国時間)に掲載した記事によれば、少なくとも2496個のeコマースサイトでCoinHiveと呼ばれる仮想通貨マイニング・ソフトウェアが検出された」「マルウェアなのか、広告システムに代わる新しい収入源になるものなのか、共通認識までには至っていない状況にある」と紹介。 ▼【2017年12月】 **【2017年12月04日】マイナビニュース『仮想通貨を悪用した新たな手口 – トレンドマイクロ2017年Q3セキュリティラウンドアップ』**  「新たな動きも見られる。その1つが、仮想通貨発掘(マイニング)を行うツール(コインマイナー)を使った金銭の獲得手口」「悪意を持ってコインマイナーを拡散している攻撃者も確実に存在していると、トレンドマイクロでは指摘している」と書かれている。 **【2017年12月14日】CNET News『人気動画サイトが閲覧者の端末を「採掘」に利用、10億人近くに影響のおそれ』** 「『crypto-jacking』(クリプトジャッキング)と呼ばれる活動が、動画ストリーミングサイトやリッピングサイトで本格化している」と紹介。 **【2017年12月25日】WIRED.jp『あなたのブラウザーは、誰かのために暗号通貨を勝手に「採掘」しているかもしれない』** 「『クリプトジャッキング』が問題になっている」とした上で、「一部のサイトが、災害救済のような慈善活動の資金調達に、これに似たアプローチを採用している」とも紹介。  「広告が減るならブラウザ内採掘を支持する」といった意見を掲載するなど、建設的な議論になっている。
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マルウェアとする報道が多かった2018年初頭
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