千葉興業銀行をはじめ、地方経済の衰退、超低金利で厳しい経営が続く地銀。東証再編で地銀の再編が一気に進む?
再編時期は未定だが、市場再編によってどれほどの企業が脱落するのか。大神田氏が続ける。
「選別のボーダーラインは時価総額250億~500億円。海外投資家のなかには1000億円以上の大型株限定を推す声もあり、これだと1400社近くが降格になり、約700社が一部市場に残る。ボーダーラインを500億円に引き下げると強制退出企業は973社、250億円だと486社になります(4月9日時点)」
<時価総額500億円前後の企業>
※4月9日時点
順位/銘柄名(コード)/時価総額
1164位/丸大食品(2288)/503億8700万円
1165位/チムニー(3178)/502億6700万円
1166位/ヤマシンフィルタ(6240)/502億3200万円
1167位/日本トリム(6788)/501億2300万円
1168位/太平電業(1968)/500億4100万円
★★★★500億円★★★★
1169位/石原産業(4028)/498億7400万円
1170位/スパークス・グループ(8739)/496億6800万円
1171位/三井ハイテック(6966)/496億1000万円
1172位/ジャパンミート(3539)/495億9700万円
1173位/K&Oエナジーグループ(1663)/492億6600万円
一部市場からの降格は、これまで得てきた社会的な信用や人材募集面での優位性を失うことを意味する。当然、株価も下落する。そのため、あの手この手で一部残留を画策する企業が出てくるだろう。
「企業側が打てる手はいくつかあります。時価総額450億円程度なら、増配や自社株買いで株価を押し上げればボーダーラインの500億円突破はそう難しくはありません。経営統合も有力な手法になり得ます。注目は地方銀行。時価総額が300億円未満の地銀は20銘柄ありますが、小粒でも2行が統合すれば500億円のハードルを越えられるようになります」
地方経済の停滞、マイナス金利政策の長期化で経営難が続いている地銀にとって、再編を後押しするきっかけとなるかもしれない。
さらに奥の手もある。企業自らの手による上場廃止だ。
「経営が順調なオーナー系企業では、経営者が株式を買い集めて力業で上場廃止に持っていくMBOの可能性があります。外部株主からの要求に従って増配しても、オーナー経営者からすればキャッシュが流出するだけ。しかも、経営が順調で新株を発行して資金調達する必要のない企業であれば、東証から一部降格を言い渡される前に上場廃止を選んでも不思議ではありません。すでに外資系投資銀行の一角が対象企業にMBOの提案に動いているとの噂もあります」
MBOとなれば、時価より3割ほど高い価格で株を買い取るケースが多く、個人株主には高く売り抜けるチャンスになる。増配や経営統合、MBOと、「東証再編」で株価が動きだしそうだ。