東証、進む4市場から3市場への再編議論。再編した場合、浮上する銘柄は?
2019.04.18
東証が現在の4市場から3市場へと再編を予定している。ボーダーラインの企業は脱落しないよう、あの手この手で生き残りを画策。「東証再編」で浮上する銘柄はどこか。
「一部上場企業に勤めてる」といえば、“エリート”の証しだった。現在、東証には「市場第一部」「市場第二部」、新興市場の「ジャスダック」「マザーズ」の4市場があり、東証上場企業3665社のうち、2141社と約6割の企業が東証一部に上場している(4月9日時点)。いまや「一部上場企業」は“一流企業”とは限らないのだ。
そうしたなか、東証を傘下に持つ日本取引所グループが昨夏から市場区分を見直す議論を開始した。いったいなぜか。株式ジャーナリストの大神田貴文氏は「一部上場企業を選別するため」と説明する。
「本来、東証一部は最もランクが高い市場とされ、ジャスダックやマザーズに上場後に二部を経て一部に昇格するピラミッド構造のはずでした。ところが格下の二部とジャスダック、マザーズの3市場を合わせても1500社にも満たず、ピラミッドどころか逆三角形の構造となっています。そこで、粗製乱造された『一部企業』を選別しようと、最大で約7割にあたる1347社を一部から降格させ、残った精鋭企業だけの市場をつくるのが構想の柱となっています」
東証一部上場企業が増加した背景には、「東証が政府系の特殊法人から株式会社へ組織変更され、利益の追求を経営目標にするようになったことが影響している」と大神田氏は指摘する。
「上場企業が東証に支払う費用はマザーズなどの新興市場より一部市場のほうが高いため、一部上場企業が増えるほど東証の収益がアップするからです」
つまり、量産された一部上場企業の“大リストラ”をしようというのだ。3月27日に発表された東証市場再編の方針によると、現状の4市場を、①C市場(企業数を削減した東証一部)、②A市場(中堅企業)、③B市場(新興市場)の3つに再編成するという。
一部銘柄の粗製乱造に対し、「もともと市場からはブーイングが広がっていた」と大神田氏は指摘する。しかも、公的年金基金や海外の投資ファンドといった超大口客からである。これでは東証も無視するわけにはいかない、というわけだ。
「公的年金などは現在、東証一部の全銘柄を買うパッシブ運用が主流。東証一部のすべての企業に投資すれば、日本経済全体に投資したのと同じになるという考え方が根底にあります。理屈は確かにそうなのですが、これだと一部上場の2141銘柄に分散投資する必要が出てくる。米国で大企業を集めた『S&P500種』が代表的なように、年金基金や投資ファンドが無理なく分散投資できるのは500銘柄が限度。しかも一部上場企業といっても、時価総額1位のトヨタが22兆円もある一方で、時価総額20億円に満たない企業や、日々の出来高がほぼゼロの企業もあります。資金運用の現場からは『一部上場企業が日本代表なのか?』という疑問はありました」
東証市場再編で浮上する株12選
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