●Fire OS
まずは、Android派生OSから話をしよう。Androidの派生品は多い。Apple製品にしか搭載されないiOSとは違い、Androidは元々製品に搭載する際に独自UIを加えるなど、改造されることが多いOSだ。大幅な改良を施して、派生OSを作ることも行われている。
Android派生OSの代表格は、Amazonによる「
Fire OS」だろう。
「Fire OS」は、Androidをフォーク(分岐)して作られた。デフォルトのWebブラウザは「Silkブラウザ」。筆者もFireタブレットを持っているので同OSを使用している。
最大の特徴は、Amazonのアプリが多数入っており、Googleのアプリが1つも入っていないことだ。Googleの各種アプリが入っていないせいか、頻繁に通信しないために電池の持ちがよい。
「Fire OS」は、Android派生OSであるために、Android向けのアプリもインストールできる。Android端末と同じようにAPKをインストールすればよい。Googleの機能に依存していないアプリならば、そのまま実行することが可能だ。
●LineageOS、CyanogenMod
Android派生OSの代表格は「Fire OS」ではなく、「
LineageOS」や「
CyanogenMod」(サイアノジェンモッド)だという人もいるだろう。これらはAndroidをベースにしたフリーでオープンソースなOSだ。
「LineageOS」は「CyanogenMod」の後継である。「CyanogenMod」は、スマートフォンやタブレット端末を自由に使えるOSとして人気があった。自由にカスタマイズができるので、独自の見た目にするなど一定の需要があった。
「CyanogenMod」は、Googleとの争いで注目を浴びた。「CyanogenMod」の古いバージョンには、GmailやYouTubeなど、Google製アプリやハードウェアドライバが組み込まれていた。それらがライセンス違反だと警告された。最終的に「CyanogenMod」は、Googleの製品を抜くことになった。
●Firefox OS
スマートフォン向け独自OSで押さえておきたいのは「
Firefox OS」だろう。「Firefox OS」は2011年にその存在が明らかになり、2012年に「Boot 2 Gecko」から「Firefox OS」に改名された。
日本で最初に大きく話題になったのは2013年2月だ。バルセロナのモバイル展示会「Mobile World Congress 2013」で、搭載スマートフォンの販売パートナーとしてKDDIの名前が挙がった。その後、同OS搭載の「Fx0」端末は、auから2014年12月に先行発売、2015年1月に一般発売された。
しかし「Firefox OS」は、2016年2月にスマートフォン向けのサポートを終了すると発表した。また、同年9月には、「Firefox OS」を採用した全ての商用デバイスの開発から撤退したことを明らかにした。
「Firefox OS」は、Android、iOS以外の選択肢となることが期待されたが失敗した。2011年の頃には、既にスマートフォン向けの市場が固定化し始めていたために、難しい戦いだったようだ。
●Windows Phone
「
Windows Phone」の存在も忘れてはならないだろう。マイクロソフトが開発・提供していたスマートフォン向けOSだ。2010年2月に発表。2011年8月に世界初の搭載端末が発売された。2015年には後継OS「Windows 10 Mobile」がリリースされたが、2019年12月にはサポートが終了する。
「Windows Phone」登場時は、Modern UI(旧名称:Metro)というフラットデザインが斬新で非常に話題になった。このインパクトは大きなもので、Android用のホームアプリで、Metroデザインのものが出てくるなど、ユーザーの興味を大いに引いた。
Modern UIは、その後のフラットデザイン流行の先駆けになった。「Windows Phone」は、OS自体よりもデザイン面での影響が強かった。
●Tizen
「
Tizen」は2011年9月に発表された。複数のスマートフォン向けOSの組織が合流して始まり、関係する会社には、モトローラ、NEC、NTTドコモ、パナソニック モバイルコミュニケーションズ、ボーダフォン、サムスン、インテルなど、名だたる会社が名を連ねていた。
2014年6月、サムスンが商用初の端末「Samsung Z」を発表。その後、サムスン製品が何種類か出たが、その他の企業には広がらなかった。2018年にはスマートフォン用Tizenから撤退するという
話も出ている。