こうして気づけばあっという間に週末最終日の日曜日。体調面でも、普段より調子がいいのではないかと感じるぐらいだったが、最後に最大の関門が……。非ヴィーガン友人との外食である。
しかも指定されたのは、回転寿司屋。普段であれば、駆け足で向かうところだが、一切魚を食べることができないとわかっているだけに、足取りは重い。
店内に入ると、辺り一面には食欲をそそる磯の香りが広がる。そして、目の前を新鮮な魚の乗った寿司が次々と通過していく。
だが、こちらから「魚は食べられない」とハッキリ言うのも、なんだか申し訳ない。さりげなくカッパ巻きや(週末中食べ続けていた)納豆巻きを手に取りながら、会話に意識を向けるようにした。
筆者はヴィーガンの友人や知り合いを食事に誘うときはいつも気を使っているつもりだったが、相手もまた口に出さないだけでこちらに気を使っていたのかもしれないと気づかされた。実際、ヴィーガン生活を送っている人に話を聞くと、次のような声が。
「一緒に食事に行って、周りが肉を食べてるのが気にならないかと言えば、正直気にはなります(笑)。でも、こちらからアレコレ注文をつけると煙たがられるし……。意外と気を使わずに楽しめるのは和風居酒屋ですね。漬物とか冷奴、冷やしトマトとか、ヴィーガンなメニューが多い」(37歳・男性)
また、以前からたびたび指摘されていることだが、外国人からはこういった意見も。
「そもそも日本がこれだけ肉食になったのは、戦後からじゃないですか? 味つけにしても昆布を使ったり、ヴィーガン料理に通ずる部分は大きいと思うんですけどね」(アメリカ人・38歳・男性)
日本食ならではの魅力を活かしたヴィーガンメニューは、増加し続ける外国人観光客にも間違いなく好まれるだろう。
最後に週末ヴィーガンチャレンジを終えてみた感想だが、3日間しか体験していないとはいえ、肉体面で倦怠感などを感じることはなかった。むしろ、腸内環境はいつも以上によかったぐらいである。
しかし、食材集めや外食先といった面では、想像以上にハードルが高かった。「好きでやってるんだから、我慢するべき」と思う人もいるかもしれないが、外国人観光客やこうした生活を志向する人が増えているだけに、もう少し選択肢があってもいいはずだ。
誤解や偏見も多いヴィーガン生活。週末だけでも一度試してみてはどうだろう?
<取材・文・撮影/林 泰人>
ライター・編集者。日本人の父、ポーランド人の母を持つ。日本語、英語、ポーランド語のトライリンガルで西武ライオンズファン