鉄道業界のブラックバイト、人身事故の対応で授業に行けないことも。首都圏学生ユニオンが小田急と団体交渉

ユニオンは時給の引き上げを要求

 同社のアルバイトの時給は、1100円だ。東京都の最低賃金985円よりは高いものの、タウンワーク調査による東京都の平均時給1130円よりは若干安い。  小田急では、乗り越し運賃の精算やICカードのトラブルへの対応といった改札業務もアルバイトが担っている。沿線の観光情報を提供したり、駅構内の設備を案内したりするのも、アルバイトの業務のうちだ。電車が到着するときのホーム上の安全確認、ラッシュ時には扉が完全に閉まっているかの確認も行う。さらに車椅子や目の不自由な旅客の案内、駅構内の清掃も担当する。  ユニオンによると、夕方から終電は清掃業者がいないため、駅構内の清掃は全てアルバイトが行う。夜間は酔った客が戻した汚物の処理もあるが、社員ではなく、アルバイトに任されているという。一部の駅では終電後の駅閉め作業もアルバイトが行う。  栗原さんは、「アルバイトの業務は多岐に渡っています。しかも、ミスをすれば電車が遅延したり、止まったりしてしまうこともあり、責任が重い。それに、汚物処理などはアルバイトだけがやらされています。この時給では安すぎるのではないでしょうか」と主張する。一方、小田急は「現在の時給は適正である」と主張しており、今後も交渉が続きそうだ。  ユニオンが4月4日、小田急の“ブラックバイト”を批判したブログをツイッターに投稿したところ5000件以上リツイートされた。リプライやDMでは、同業他社での“ブラックバイト”について報告が相次いでいるという。 「かなり反響が大きく、鉄道業界ではブラックバイトが蔓延していることがわかりました。小田急での改善によって、鉄道業界全体のアルバイトの待遇改善につなげたいと思います」(栗原さん) <取材・文/HBO取材班>
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