ドライバー目線で振り返ると、自転車時代の自分にゾッとする
3.交通ルールを分かっていない
自転車は道路交通法上「軽車両」と位置付けられており、先述通り他車両と同様に原則車道を走り、道路標識に従わねばならない。つまり、「止まれ」も「一方通行」も「自転車を除く」といった補助標識がない限り、彼らはそれらを守らねばならないのだが、現状は「守る」以前に「守らねばならないことを知らない」サイクリストが非常に多い。
また、併せて禁止されている「路側帯の逆走」や「酒酔い運転」、傘を差したりイヤフォンで耳を塞いで音楽を聞いたりするなどの「ながら走行」においては、自転車に対する警察の取り締まりが甘いせいで「知っていても知ったこっちゃない」としているサイクリストもかなりの割合で存在する。
サイクリストの中には、これら3つの要素を完全完璧に備えている人らがいる。
「自動車を運転したことのない大人のサイクリスト」と「図体が小さく行動の読めない子どものサイクリスト」だ。
当然彼らは、ドライバーの目線から自身がどう見えているかを知らない。
余談だが、筆者はトラックに乗っていた頃、夕方に通塾する元気な小学生自転車集団が現れると、すぐさまその人数をカウント。信号などでしばらく停止した後は、その数を数え直してからでないと怖くて発車できなかった。それほど彼らはよく動き、よく隠れるのだ。
筆者自身もトラックドライバーをする以前、小中学生・大学生時代に長らくサイクリストをしていたが、自動車免許を持っていなかった当時の自分がどれほど危険な運転をしていたかを今ドライバー目線で振り返ると、心底ゾッとする。
一方の自動車は、高速道路に侵入した自転車がトラックにはねられた際、トラックドライバーが自動車運転処罰法違反(過失運転傷害)の現行犯で逮捕されるといった事例があるように、どれだけ自転車に過失があっても、「お前が悪い」とされることがある。
自転車に乗る際は交通ルールとマナーは持ち合わせてほしい
これらのことを考えると、やはり車道で自転車に乗るならば、年齢に関係なく最低限の交通ルールやマナーは持ち合わせておいてほしいというのがドライバーの本音で、実際、「完全免許制」ないし「教習制」にすべきだとする声も一部からは強く出ている。
こうした声を反映してか、最近ではサイクリスト向けに交通ルールに関する講習会を開催し、受講者に「自転車免許証」なるものを独自に発行・交付する教育機関や自治体が増加。
同免許証を提示すると、自転車パンク修理費が1割引になったり、安全点検が無料になったり、さらにはその免許証自体に被害者へ最大1億円を補償する保険を付帯させたりするなど、各自治体ともサイクリストに講習受講と交通ルールの遵守を促している。
当然それらの免許証に法的効力はなく、取得せずとも自転車には乗れるが、自転車と相性の悪いトラック側、はたまた自転車の過失による事故でも逮捕される場合のあるドライバー側の立場としては、1つでも多くの自治体や学校に定期的な講習会を開催していただき、1件でも無駄な事故が防げたらと思うのだ。