【ファクトチェック1】大阪維新の会は福祉医療にもっとも力を入れている?
●まず、「福祉・医療 約6,100億円」とは何の数字か。
大阪府の平成31年度当初予算案(参照:
大阪府)でチェックします。この府ホームページの、資料名『【資料1】 平成31年度当初予算案の概要 資料1-2』に、「目的別内訳」という表(図①)があります。
図①:【資料1】 平成31年度当初予算案の概要資料1-2より
維新・横山さんビラの
「約6,100億円」の数字とは、この表の「31年度当初」列の「福祉費」と「健康医療費」の総額を合計したもの(327,000+282,781=609,781(単位:百万円))ですね。
構成比は計23.5%(=12.6+10.9(%))だから、ビラにある「約24%」のとおりとなります。
数字は、あっていました!
次に、この数字が「もっとも力を入れている」「徹底投資!」と宣伝できる数字かを見ていきます。
●「もっとも力を入れている」と言えるのか。
同じ予算案の資料のなかに、予算案の編成理由(図②)が載っています。
図②:【資料1】 平成31年度当初予算案の概要より
「義務的に負担する社会保障関連経費が増え続けており、今後も増大する見込みであるなど、引き続き厳しい状況」
・・・ん?なんやなんや?
「義務的に」というのは、法令等で支出が義務付けられている、いわゆる「
義務的経費」のことを言います。
「義務的経費」は自治体の裁量では決められません。各自治体の裁量が発揮できるのは、「裁量的経費」など呼ばれます。もし単に
義務的経費が増えてて「厳しい状況」なだけなら、「維新は徹底投資!」とは言えません。
もう少し詳しく見ていきます。
ところで、「社会保障関連経費が増えている」主な理由も、知っておきましょう。
「社会保障関連経費」を細分化した資料が図③。大阪府が作成した資料です。
図③:平成31年度当初予算案の概要 社会保障関係経費の内訳より
福祉費・健康医療費総額「6,098億円」のうち、95%以上を占める「社会保障関連経費」。
この「社会保障関連経費」の増大の大きな要因は、
国の幼児教育無償化の地方負担が71億、要介護高齢者の増加に伴う介護保険負担金30億等であり、国の政策や自然増によるものです。
平成31年度に限らず、近年、大阪府はこのように義務的経費の増大で、全国で最も財政が硬直化(裁量的な、投資できる財源が、ない)状況に追い込まれています。
それで、少し話もどりまして、平成31年度予算の「福祉・医療 約6,100億円」のうちの義務的経費が占める割合は?
図④は上の資料をもとに私が作りました。
図④ 社会保障関連経費の義務的経費(図③から筆者作成)
福祉費・健康医療費総額「6,098億円」のうち、「義務的経費」は「4,887億円」と、
義務的経費が占める割合は80%超となります。
ここでファクトチェック1の結論として、ひとつ言えるのは、次のことです。
そもそも義務的経費が大半の「福祉・医療費」を、予算にしめる割合「24%」とか割合出して、「維新の徹底投資」とは、フツーはよう言わん。
たとえば収入が月25万円のおうちで、借金返済が月10万円で固定だったら、返済が収入の40%に達していてだいぶ生活がキツイ状況ですが、「
うちは返済にもっとも力を入れています!家計からの支出第1位、40%です、キリッ」て言うようなものやぞ?
絶対払わなあかんから払ってるだけですからね・・・
あのね、「なんでも書きゃあいい」ってもんじゃないんです。
そんなの許したら、「うちはギャンブルに徹底投資!」とかもありになっちゃう。ありなわけないやろ!怒
はい、
1つ目のフェイクでした。
私がすでにぷんぷん怒っているのは、
もう1つ、フェイクに気づいたからです。
「社会保障関連経費」は、「義務的経費(=不自由な経費)」と「裁量的経費(=自由な、投資的な経費)」でできていますが、上図で、「
社会保障関連経費」を見ると、30年度から31年度にかけて5,730億→5,891億と、
予算が161億円増えました。
そのうち「
義務的経費」は4,701億→4,887億と
186億円増と、全体の161億円よりも増えている。ということは、つまり、「社会保障関連経費」の「
裁量的経費」は、数字上、
25億円減っている。
(1,029億(=5,730-4,701)→1,004億(=5,891-4,887))
おいおいおい。