午後の質疑の終盤、密約の方程式について山本議員は正面から切り込む。
山本議員:
「つまり、新しい地位協定、文言変わるけど、前の行政協定のまんまだからねって話なんですね。行政協定イコール地位協定だよってことです。
アメリカでは絶対にできない、絶対にできない市街地上空での米軍機の訓練飛行、小学校、幼稚園に窓枠などの危険物を落下させても、何もなかったようにすぐ訓練飛行を再開させる米軍、それに抗議できない日本、止められない日本、なぜですか。米軍機が学校、保育園の上を飛ぶたびに、運動場で遊んでいた子供たち、校舎に避難しなければならないような生活、普通ですか。アメリカ国内ではやれない訓練、なぜ米軍は日本でできるんですか。
総理、辺野古の建設に幾ら沖縄県民が反対しても、日本政府がその声を受け止められない本当の理由、又は総理が北方領土交渉において25回会談しても何一つ交渉を進展させられない本当の理由、それ、おじい様がひそかに結んだ先ほどの基地権密約、米軍の日本国内での行動に日本側が歯止め掛けられない密約にあるんですよ。
おじい様の結んだこの密約、根本から見直して破棄する、米軍の行動を日本がきちんとコントロールできるようにする、日本国首相として沖縄県民の民意に応えて、また軍事主権を持つ独立国の首相として堂々と北方領土交渉、返還交渉に臨む。やっていただけませんか、総理」
こう安倍総理に問いかけた山本議員。しかし、例のごとく出てきたのは安倍総理ではない人物。このときは河野太郎外相だった。
その時のやり取りを視覚化した結果がこちらだ。
河野外相:
「あのー、
日米行政協定と、おー、
今度の地位協定においては表現は変更されておりますが、施設区域における米軍のいわゆる管理権の実質的内容が変わったわけではございません。
こうした経緯、考え方については昭和35年の日米地位協定締結にあたっての国会審議の場で繰り返し申し上げていることでございまして(以上、「黄判定」、
え、
これは当時、国会で、えー、
議論されておりますから密約でもなんでもございません(以上、「赤判定」」
山本議員の質問は「密約を破棄して頂けるか」。
対して、河野外相の回答は「管理権の新旧協定間の差異、密約であるか否か」となっており、あからさまな論点のすり替えと判断し、
赤信号とした。
山本議員もすぐさま以下のように切り返す。
山本議員:
「じゃ、何で密約文書が出てくるんですか。総理、今言ったことをやっていただけませんか。基地権密約。これ破棄して、もう1回、日本、出直した方がいいでしょう。戦後レジームからの脱却なんじゃないですか。やってくださいよ」
この提案に対して、ようやく答弁に出てきた安倍総理。そのやりとりを視覚化した結果がこちらだ。
安倍総理:
「あの、おー、
政府としてですね、え、
米国において公開されたとされる文書の中身について、一つ一つコメントすることは適当ではないと考えてます。えー、
米国の一般に公開された文書につきコメントを行わないものと承知をしております。
この文書から離れてですね、施設区域における米軍の管理権について申し上げれば、この権利権、あ、
管理権の実質的内容が1952年に締結された日米行政協定と1960年に締結された日米地位協定の間で、え、
異なるものではないことはですね(以上、「赤判定」)、
日米地位協定の締結にあたって、え、
国会審議の場を含め、ま、
政府から既に説明していることであります(以上、「黄判定」)。
えー、なお、
いわゆる密約問題について、2009年から、え、
外務省において4000を超えるファイルを対象に徹底した調査を行い、その結果及び多数の関連文書を2010年に、え、こうひょ、
公表したところ、え、これはあのー、
民主党政権時代でありますが、2010年に公表したところでありますが、
この文書はその調査及び結果の関連文書の中には、ま、
含まれておりませんでした(以上、「赤判定」)」
こちらも、「密約を破棄して頂けるか」と問う山本議員の質問に対して、安倍総理の回答は「米国文書へのコメント、管理権の新旧協定間の差異、民主党政権時代の関連文書公表結果」となっており、論点すり替えとなっている。