5年ぶりに復活した2018年のマスゲーム
北朝鮮最大の外貨獲得イベントであるマスゲームが5月1日から開催される可能性が明らかになった。
マスゲームは昨年5年ぶりに復活したことで話題となったが、韓国系メディアが今年も9月に開催すると報じ、「高麗ツアーズ」(中国北京)も9月に開催すると発表していた。
現在、北京や上海、大連、吉林などを訪問している北朝鮮の複数の省庁からなる訪中団と会談した関係者が今年のマスゲーム開催について確認すると北朝鮮の内閣府直下の観光総局幹部は、開催する方向で進んでいることを認めた上で、驚くべき発言をした。
「今年は5月1日のメーデーを初日にマスゲーム公演を始める可能性がある」
期間は昨年のマスゲームが始まった北朝鮮の建国記念日である9月9日を含め9月末までだろうとの見通しを示す。
驚いた会談者は「すでにマスゲームの準備は始まっているのか?」と尋ねるも「それは分からない」と濁したので不確実性も感じさせるが2002年から始まったマスゲーム(アリラン祭)で、5月から始まるとなれば史上初となる。
背景に逼迫した財政状況による「観光産業の活性化」命令!?
2002年スタートのマスゲームは、夏の北朝鮮観光の目玉として多くの外国人観光客を集めたが、金正日総書記死去の翌年の2013年を最後に終了。終了した理由は、子どもたちに学業へ専念させるためとされたいた。
マスゲームは開催練習に半年かかるとされる。5月1日開催が事実であれば、とっくに練習が始まっていることになる。さらに5月1日から9月末でマスゲームが実施されると5か月と練習期間を合わせると1年近くが費やされることになる。
明かしてくれた観光総局幹部は、「開催は毎日ではなく、日曜日と木曜日など決まった日になるかもしれないがまだ何も決まっていない」と話す。5月から始めて細く長く観光の目玉に据えたいという狙いもありそうだ。マスゲームの会場が、大同江の中洲のあるメーデースタジアムなので5月1日メーデースタートは絶好の日と言えるのかもしれない。
これだけだと、確実性の薄い話で終わりそうだが、最高指導者から「観光産業を活性化させるためにマスゲームを開催するように」との指示があったと明言したというからマスゲーム開催は現実味がありそうだ。
また、別の省庁幹部は、外貨枯渇が深刻だとも漏らしたという。米朝首脳会談決裂で、このまま国連制裁が続くと北朝鮮国外で働く労働者全員が今年12月までに帰国しなければならず、それまでに何とかしないといけないと焦った話しぶりを見せたという。
過去の例からすると、省庁幹部クラスが外貨が枯渇しているとか、外貨を稼ぐなどに言及したことはあまり聞いたことない。もしかすると中国を通じて周辺国へ否定的な状況を拡散させるために意図的に流しているのかもしれないが、省庁幹部クラスまで危機感が共有されていることが分かる。これまでには見られなかったことだ。