ミートボールの石井食品で「大人の社会科見学」。元は電気ドリルの会社で現在はIT化に注力していた

いざ、工場見学へ!

 工場見学には、ある種のフォーマットがある。最初に映像で会社や主力商品の説明をおこない、その後工場見学に臨む。食品会社なら最後に試食が入る。試食があるので食品会社の工場見学の倍率は高く、なかなか予約が取れない。  今回は、石井食品の成り立ちと、ミートボールの説明があったあとに工場見学になった。見学に行くまで、石井食品について知識はほとんどなかった。しかし紹介を見ることで感心した。  石井食品のミートボールは製造過程で食品添加物を使っていない。こうした取り組みは1997年から始まった。そして、卵や乳も使っていない。同社では食物アレルギー対策に注力しており、こちらの取り組みは2006年からのスタートだそうだ。  アレルギーを持っている子供がいる家庭にはありがたいだろう。また、非常食も作っているので、そうしたものを探している人にも有用だと思う。

工場見学をしてわかった「トレーサビリティ」

 工場見学にも驚きが隠されていた。製造工程自体は、ある程度予想したものだった。しかし、トレーサビリティの話を聞いて大いに興味を持った。石井食品の製品のパッケージには、品質保証番号が印字してある。この番号と賞味期限をWebサイトで入力すると、商品の原材料の情報が表示されるというのだ。  実際に帰宅後に検索してみた。商品の原材料ごとに「原料、原産地、検査内容、加工地、加工日」が表示された。また、アレルギー対象原料の一覧も表示された。こうした情報を公開していることに驚いた。

食品製造の現場で進むIT化の取り組み

 どうやらITに強いらしい。そうした印象は、工場見学のアンケートがQRコードになっていることからも分かった。スマートフォンでスキャンすると、Googleフォームのページに飛ばされる。このようにしておけば、入力から集計まで手間を掛けずに行うことができる。  また、試食の際に机に敷く紙のシートには、Twitterやインスタグラム向けと思われるハッシュタグが印字されていた。これは、相当ITに慣れた人がいるなと気付いた。  見学を案内してくれた女性に「ITの部署があるのですか?」と尋ねると「はい」と返答が。帰宅後調べると、ITに力を入れていることが分かった。  ホームページ開設が1999年、トレーサビリティを始めたのが2000年、Webで情報開示を開始したのが2001年。かなり早い時期に取り組んでいる。  採用に関するページを開くと、2枚目の画像では社員が全員ノートパソコンに向かっている(石井食品株式会社採用情報)。また、IT化についてのページもあった(IT化)。以下、少し引用する。 >IT部門として、今後はクラウドをベースに社内のシステムを変えていきたいと考えています。ITチームとして現在取り組んでいるのは、会計システムをクラウドベースにしていくプロジェクトを現場部門と一緒に始めています。  食品工場ということで、単純に生産ラインを見て、試食して終わりだと思っていたが、意外なところで会社のことを深く知ることができた。こうした出会いがあるので、大人の社会科見学は面白い。
試食

でもやっぱり試食も楽しい

次のページ 
思わぬ「気づき」を得られる
1
2
3