横畠裕介内閣法制局長官(参院インターネット中継より)
国会でいま、看過できない異常な事態が出来している。
内閣法制局長官が、国会での議員の発言に掣肘を加えるが如き答弁をしたのだ。去る三月六日の参院予算委員会で、立憲民主党の小西洋之議員が「国会議員の質問は、国会の政府に対する監督責任の表れだとする(政府が閣議決定した)答弁(書)を確認して欲しい」と質問した。これに対して横畠裕介内閣法制局長官が「国会には一定の監督的な機能がある」と答弁し、加えて「このような場で声を荒げて発言するようなことまで含むとは考えていない」と述べた。
内閣法制局長官の極めて異様な政治的発言は、憲法で国権の最高機関と規定した国会を愚弄するものだ。内閣法制局長官は政府提出法案に憲法違反の有無を厳重にチェックする、「法の番人」と言われる存在である。あくまでも憲法に忠実であり、中立でなければならない。
本来なら、行政府のトップたる安倍首相が法制局長官を更迭するか、厳しく叱責すべき重大な事柄だ。安倍首相はこの横畠長官発言が議会制民主主義の根幹を揺るがしかねない問題である、ということに気付いていないのか。
自民党の伊吹文明元衆院議長は横畠長官発言を、「国会議員に対して、姿勢や態度を批判するなどあり得ない」と厳しく批判したのは、至極当然のことだ。
この事件は、戦後の憲政史上、一大汚点と言っていいだろう。
横畠長官は検事出身で、五年前に病気で辞任した小松一郎長官の後任として次長から昇格した。安倍首相の強い意向を受けて、小松氏と共に、憲法学者からは憲法違反の疑いがあると指摘されていた集団的自衛権の行使を容認する憲法解釈変更に貢献した人物だ。政権に奉仕する鵺官僚である横畠長官を、官邸は擁護し、辞任は求めない意向だ。これでは「憲法の番人」ではなく、「政権の番人」ではないか。
この横畠長官発言をめぐる事態について、某新聞は「内閣法制局長官に、深く同情申し上げる。国会議員に対して姿勢や態度を批判してはいけないほど、国会議員はそんなに偉いのか」との論説委員長の原稿を掲載した。開いた口が塞がらない。