大阪湾の人工島「夢洲」は、大阪万博開催地でありカジノ候補地でもある。実現するには、地下鉄延伸など巨額のインフラ整備費が必要となる
そこで筆者は3月8日の記者会見で松井知事に対して、カジノと一体の大阪万博のマイナス面について質問したが、「そうならないように対策を講じる」と回答した。また「菅官房長官とどんな話をしたのか」とも聞くと「一国の官房長官と大阪都構想のことについての話はしていない」と働き掛けを否定した。
さらに政界復帰が取り沙汰される橋下氏への「支援依頼はしない」と強調する松井知事に対して、「大阪都構想について、橋下氏と最後にいつどういう会話をしたのでしょうか。橋下氏も公明党への怒りを露わにするコメントをしていましたが」とも聞いたが、松井知事は「橋下氏は私人」「今年に入って食事をしたり、話をしたりしているが、大阪都構想について最後にどんな話をしたのかは覚えていない」と具体的内容を話すことは控えた。
『文藝春秋』1月号で赤坂太郎氏は「大阪万博誘致成功も橋下の背中を押す。もしダブル選挙となれば、ミクロの『大阪万博』とマクロの『改憲による統治機構改革』を掲げて戦う名分が立つからだ。橋下の持論である『強い野党』を、もう一度つくり直す好機が到来するのだ」と政界復帰の可能性が高まりつつあるとの見立てを紹介していた。
大阪ダブル入れ替え選挙だけでなく、官邸からしてみれば「御用野党」として動いてくれる都合の良い存在であり、日本の政治になぜか影響を与える橋下氏の動向が注目される。
<取材・文・撮影/横田一>
ジャーナリスト。小泉純一郎元首相の「原発ゼロ」に関する発言をまとめた
『黙って寝てはいられない』(小泉純一郎/談、吉原毅/編)に編集協力。その他
『検証・小池都政』(緑風出版)など著書多数