誰でもできる、心地のよい第3の居場所「サードプレイス」の作り方

高まる「心を許してなんでも語り合える場」の必要性

バーのカウンター 最近「居場所」の必要性が言われる。利便性や効率性が高まるにつれて、お金で計れないもの、時間を要するもの、面倒なもの、それらがいつの間にやら淘汰されてきてた。また、人々の「個」の権利が進んだという利点の裏腹で「孤独化」も進んでいる。「つながり」が求められ、「コミュニティ」の創造が謳われる所以だ。その入り口として「居場所」のニーズが高まっている。  この「居場所」のニーズに伴って、よく使われるのが「サードプレイス」という言葉だ。ネットでこの言葉を検索すると「自宅や職場とは隔離された、心地のよい第3の居場所」と出てくる。  さらに調べてみると、アメリカの社会学者であるレイ・オルデンバーグが提唱したものだとのこと。ストレスがますます多くなる世の中において、「心を許してなんでも語り合える場」が必要で、以下のような条件が揃っているのが「サードプレイス」らしい。 ・中立性(全員が心地良くいられる) ・社会的平等性の担保(どんな人でも出入りできる) ・会話が中心に存在する(楽しく、活気で満ちている) ・利便性がある(アクセスがいい) ・常連の存在(常連は新参者を受け入れ、皆が心地良い場所) ・目立たない(簡素なデザインをしている) ・遊び心がある(明るい自由な雰囲気) ・感情の共有(第二の家のような存在) 上の条件は、これからのコミュニティ像と合致する部分が多いと思う。

たまTSUKI流「心地よい居場所を作るための8か条」

 そんなこんなで、荒んだ世の中を反映してか、俺のところには居場所やサードプレイスを作りたいという方が多々訪ねてくる。俺が14年間営んだ オーガニックバー「たまにはTSUKIでも眺めましょ」がサードプレイスだったか、コミュニティだったか、それは皆さんの判断に委ねる。ただ、お客さんからは「心地良くいられる」「ここだけのシンプルなデザイン」「家にいるよう」だと何度となく言われた。  そう感じてもらうために、開店当初から閉店まで貫いた8つの技法があるので、ここで紹介したい。
逆さ富士山

富士山が逆さだったら、安定感がなくて非常に落ち着かない

①三角構成  モノを配置する場合、三角形型にすると無意識に安心感と安定感を得られる。富士山がなぜ安定感があるのか思い起こせばいい。富士山がもし逆さに立っていたら、見る人も麓に暮らす人も不安でたまらないだろう。 シンメトリー②シンメトリー  シンメトリーとは「左右対称」という意味だ。左右対称にモノやデザインを配置する。富士山もシンメトリーだし、たいていの生き物も正面から見てシンメトリーだ。この状態に人は好感度や安心感を抱くと言われている。
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色や大きさ、重さにもある「心地よさ」
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