沖縄の若者の「悩み相談」から始まった県民投票が、辺野古埋立工事を止める「法的根拠」に!?

玉城知事が埋立承認再撤回すれば、裁判所は認めざるをえない

近藤昭一

報告集会には、辺野古問題に取り組む「沖縄等米軍基地問題議員懇談会」会長の近藤昭一衆院議員(右)や、メンバーの杉尾秀哉参院議員ら野党国会議員も駆けつけて挨拶した

 武田教授は、投開票の翌25日付の『沖縄タイムス』で「再撤回の有力根拠に」と題する寄稿記事(識者論評)を紹介したうえで、「『辺野古埋立を白紙に返す道筋をつけた』と見ている」と次のような解説をした。 「(今回の県民投票で示された)民意に基づいて知事が再撤回をすると、これは裁判所も恐らく『違法』と言えなくなる可能性が非常に高い。なぜかと言うと、公有水面埋立法は埋立を承認する要件として『国土利用上、適正かつ合理的』ということを規定しているのです。地元の県民が非常に強く反対している埋立が『国土利用上、適切かつ合理的』であるはずがない。  ですから仲井真知事(当時)がした埋立承認は『公有水面埋立法にも違反している』ということが(県民投票で)はっきりしたわけです。そうすると、玉城知事が埋立承認の撤回をする最大の根拠になるわけです。  しかも折しも辺野古の埋立は、世界で例のない難工事になる7万本もの砂杭を打って(地盤改良をする船が海面下)70メートルしか届かないのに90メートルまで砂杭を打たないといけない。『本当にできるのか』という(軟弱地盤)問題が起こっています。  公有水面埋立法を見ると、『環境保全と災害防止に十分配慮されていること』という環境防災要件もあり、この要件にも違反していることがいまハッキリとした。玉城知事がこの2つの理由で(埋立承認の)再撤回をすると、これは非常に明確な法的な根拠があるということになります。  これから玉城知事が(埋立承認の)再撤回をすれば、これも裁判所も認めざるを得なくなると私は見ています。最初からこのことが予測できたから『県民投票をやってみる価値がある』と何度も申し上げていた」(武田教授)  悩める若者が師匠の助言を発端に実現した県民投票は、計り知れない破壊力を有している可能性がある。政府の埋立工事強行を“撃退”する法的根拠になりうるというのだ。新たな“切り札”を手にした玉城知事がいつ、埋立承認の再撤回に踏み切るのかが注目される。 <取材・文・撮影/横田一> ジャーナリスト。小泉純一郎元首相の「原発ゼロ」に関する発言をまとめた『黙って寝てはいられない』(小泉純一郎/談、吉原毅/編)に編集協力。その他『検証・小池都政』(緑風出版)など著書多数
ジャーナリスト。8月7日に新刊『仮面 虚飾の女帝・小池百合子』(扶桑社)を刊行。他に、小泉純一郎元首相の「原発ゼロ」に関する発言をまとめた『黙って寝てはいられない』(小泉純一郎/談、吉原毅/編)の編集協力、『検証・小池都政』(緑風出版)など著書多数
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