Yahoo!ジオシティーズ終了。無料ホームページサービスの終焉と、失われる人類の情報資産

ブログやSNSの台頭と、Webの情報発信の変化

 そうした牧歌的な時代は、ブログやSNSの台頭で終わる。ブログという存在が本格的に注目されたのは、筆者の記憶では「Movable Type」の登場からだと思われる。「Movable Type」のバージョン1がリリースされたのは2001年。日本語化から普及が始まったのが2002年。今から17年前に、個人ホームページはゆるやかに衰退を始めた。  サーバー上で、効率的に時系列の情報を発信できる「ブログ」は、「weblog」を「Blog」と略したものだ。「log」は航海記録などを指す言葉である。時系列に次々と情報を発信するブログは、万人ジャーナリストといった文化を作り、ブログの執筆者はブロガーと呼ばれた。この時期からインターネット上のコンテンツは、ストック型からフロー型に質が変わった。蓄積するものではなく、旬な情報をニュースのように流して消費する形に移行した。  SNSについても触れておこう。SNSの萌芽は2000年以前からあった。大きな転換点は「MySpace」が登場した2003年頃だろう。日本では、2004年に「GREE」や「mixi」が開始している。「Facebook」の設立も2004年。「Twitter」が開始したのは2006年になる。  ブログとSNSの台頭により、個人でWebサイトを作るという文化は急速に廃れた。専門的な情報を発信するならブログで十分であり、情報拡散やコミュニケーションを狙うならSNSを使えばよい。情報を蓄積するだけで、外へと伝える機能がない個人ホームページは、その価値を大きく落としていった。  「Yahoo!ジオシティーズ」の終了は、こうした時代の変化から10年以上を経て起きた現象だ。よく耐えたと言える。とうとう終わりが来たのだなという感想だ。時代が変わったのだ。仕方がないと言えるだろう。
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失われる人類の情報資産
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