珍しく「反対派」学者も呼んで行われた、愛媛県八幡浜市の使用済燃料乾式貯蔵施設PA講演会

 前回に引き続き、原子力PAを主題に、今年2月6日に八幡浜市保内町で開催された八幡浜市主催の「使用済燃料乾式貯蔵施設に関わる講演会」について執筆しています。

「PA(パブリック・アクセプタンス)」とは何か?

 PA(Public Acceptance:パブリック・アクセプタンス)とは、社会的受容を意味し、より平易には、社会的影響の大きな事業について、影響を受ける市民、周辺住民に受けいれられることを目的とした諸活動を意味します。  日本では、原子力PAやワクチンPA、ダムPAなどがよく知られていますが、例えば生活習慣の改善、遺跡保存や、文芸の保護、教育制度や医療制度、福祉制度の存続・改変などもPAの成否が大きな意味を持ちます。一方で大阪では、行政の長にありながらPAの逆を行うことによって文楽への助成金ほか文芸・福祉・医療行政を意図的に破壊した政治業者もいます。  古墳などの遺跡の保護も私権制限を伴いますし、加えて公益の制限をも伴いますので、やはりPAを必須とします。これに失敗すると、デベロッパーが古墳を破壊するなどの行為が平然と行われます。合衆国の国立公園制度は、PAの成功例として挙げられるでしょう。日本でも歯磨き習慣の定着や赤痢(せきり)の防止・根絶など大成功例は結構あります。  一方、福島核災害で帰宅困難地域となった福島県双葉町の「原子力明るい未来のエネルギー」看板のように、子供を使った小手先芸で核災害のあげく撤去する羽目になった大失敗例など、資金力だけで中身空っぽのプロパガンダも日本ではたいへんに目立ちます。
原発PA看板

福島県双葉町。原子力PA看板(後に撤去)2013年 photo by Hohoho via Wikimedia Commons

 今回八幡浜で行われたPA講演会は、福島核災害後の原子力PAのあり方を模索するものとしても注目されるもので、前回言及したように福島核災害前に比べ大きな改善が期待されます。  なお、講演冒頭に不規則発言、暴言の場合は退場してもらう旨主催者側から複数回アナウンスがありましたが、過去のPA活動が抱える負の遺産でしょう。かつての争いのすさまじさが想起されます。

反対の立場で語った長沢啓行博士

 長沢啓行博士(長沢氏)は、大阪府立大学名誉教授で、機械工学・経営学を専門とされ、生産工学に目を引かれます。最近は、機械工学科でありながら流行を追いかける余りに生産工学がない、または途切れるというあり得ない無責任かつ見識の無い大学もみられますが、生産工学は工学の柱です。  長沢氏の講演資料は、配布されたもので42面です。今回のものとは全く異なりますが、伊方発電所高松高裁訴訟で2018/6/1に長沢氏の行った証言資料が公開されていますので、どういった資料を作られるかの参考になります。(参照:長沢 啓行 証言内容 2018/6/5 高松高裁)  今回の講演では、「使用済み燃料乾式貯蔵施設について」と題して次の順で講演が行われています。 1) 四国電力は、何のために乾式貯蔵を行うのか 2) 乾式貯蔵後、使用済み核燃料(SF)の行き先はあるのか 3) 乾式貯蔵キャスク優位論の誤謬 4) 核燃料サイクルの現状とプルサーマルの矛盾 5) 日本における乾式貯蔵の実際と問題点 6) 日本におけるバックエンド、デコミッションの現実と将来 7) 海外事例紹介 8) 地震・火山国日本の特異性  概ね上記1)~8)となります。経験上、これだけの内容ですと大学の共通教育で90分二コマでも時間が足りませんが、時間が限られており仕方ありません。ここでは、長沢氏の講演内容を非常に短く要約してご紹介します。なお、用語は、筆者が通常使う用語に統一しています。また、括弧内は筆者による補足説明となります。
長沢啓行氏講演冒頭 2019/02/06 牧田撮影

長沢啓行氏講演冒頭 2019/02/06 牧田撮影

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「反対派」長沢氏が語った、「乾式貯蔵施設」の無意味さ
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