誰かの成功例はそのまま真似してもダメ。上手に取り入れるために必要な「力」とは?

置換力を発揮して他人事を自分事に

山口 博氏

山口:伊藤さんは、働き方改革、組織風土改革に取り組むなかで革新的な取り組みをされています。行動を変えていくためには、どのようなことが必要なのでしょうか。 伊藤:意識が変われば行動が変わるとよく言われますが、本当に意識が変わっても行動が変わるのか? 必ずしもそうではありません。意識が変わっても、一歩、踏み出すには勇気が必要です。ましてや、今日のビジネス伸展や変革のスピードを考えたら、意識が変わり行動が変わるまで待っていられない。  また、考えれば考えるほど、リスクを考えてしまい、結局、行動できないというのが現状です。だから、私は乱暴ですが、考えるより先ずは行動しろと言っています。ビジネスの世界で1回やって成功することなどないのですから、トライ&エラーを続けていくことを勧めています。失敗すれば何が原因かわかりますから、これが近道です。 山口:ああしろ、こうしろとトップダウンのリーダーシップを発揮しているだけでは、自分で考えて工夫して試行錯誤するという機会を損ないかねません。トップダウンのリーダーシップが必要な場面はありますが、ボトムアップのリーダーシップを発揮して、やりたいようにやってもらうということが、試行錯誤を生みますね。 伊藤:はい、そのほうが成長します。そして、変革を実現するために不可欠なのが、置換力だと思います。他人事を自分事に置き換える能力です。誰かの好事例は参考になりますが、それをそのまま、自分に置き換えてもうまくいきません。それを踏まえ、自分なりの工夫をすること。これを習慣化していくのが大事ですね。  先人の知恵を活かし置換力を発揮すると、近道を探りやすくなります。人から言われた通りの手順でやっても楽しくないし、変革も成長も生まれません。置換力を発揮し、自分事として捉え、自分にあった近道を見つけていくことが、働きがいを生み、働き方を変えていくのではないでしょうか。 <対談を終えて>  楽にではなく、楽しく仕事をすることをつきつめていくことが、伊藤さんのモチベーションファクター(意欲を高める要素)ではないかと私には思える。「親しき仲にも演技あり」という考えに基づいて「置換力」を発揮して行動して試行錯誤することは、まさに分解スキル反復演習を具現化するひとつの方法だ。伊藤さんは、モチベーションファクターを梃にした分解スキル反復演習を実現している一人なのだ(モチベーションファクター株式会社 山口 博) 【山口博[連載コラム・分解スキル・反復演習が人生を変える]第124回】 【山口 博(やまぐち・ひろし)】グローバルトレーニングトレーナー。モチベーションファクター株式会社代表取締役。国内外企業の人材開発・人事部長歴任後、PwC/KPMGコンサルティング各ディレクターを経て、現職。近著に『チームを動かすファシリテーションのドリル』(扶桑社、2016年3月)、『クライアントを惹き付けるモチベーションファクター・トレーニング』(きんざい、2017年8月)がある
(やまぐち・ひろし) モチベーションファクター株式会社代表取締役。国内外企業の人材開発・人事部長歴任後、PwC/KPMGコンサルティング各ディレクターを経て、現職。近著に『チームを動かすファシリテーションのドリル』(扶桑社新書)、『クライアントを惹き付けるモチベーションファクター・トレーニング』(きんざい)、『99%の人が気づいていないビジネス力アップの基本100』(講談社+α新書)、『ビジネススキル急上昇日めくりドリル』(扶桑社)がある
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