「窓際で立ち読み」できない!?――コンビニの店づくりの変化
こうした「書籍の売り上げ低下」は、各社の「店づくり」にも表れている。
国内最大手である「セブンイレブン」では、2017年以降に開店・改装した一部の店舗において窓際を食品売場や日用品売場、イートインコーナーへと転換。食品や日用品の品揃えを増やすとともに、書籍・雑誌売場は規模を縮小し、店内なかほどの棚に配置する形式へと変更されている。こうした店舗では、すでに成人雑誌の取り扱いをおこなっていないところも少なくない。
また、2018年から展開が始まったファミリーマートとドン・キホーテのコラボ店舗「ファミリーマートPRODUCED BY ドン.キホーテ」でも、従来のファミマよりも取り扱い品目を増やした新業態であるにも関わらず書籍・雑誌については逆に取り扱い品目数が減少している。
窓際に家庭用品が陳列されるセブンイレブンの店舗(東村山市)。この店舗では書籍・雑誌は店舗のなかほどの棚に置かれている
さらに、近年は「MGミツウロコグローサリー」(旧ココストア・エブリワンからミツウロコグループに譲渡された店舗)のように、改装時に「雑誌売場をほぼ廃止する」というチェーン店まで生まれ始めた。
MGは店内に厨房やベーカリーがあり、焼きたてのパンや出来立ての弁当を提供していることが特徴だ。かつて「ココストア」や「エブリワン」の店舗だったころは窓際には多くの書籍・雑誌が陳列されていたが、「食に強いコンビニ」であることを活かすべく、書籍・雑誌売場であった窓際のスペースの殆どを改装時にイートインコーナーの増設に充てている。現在、雑誌はガイドブックなどごく一部の商品が陳列されるのみだ。
MG(ミツウロコグローサリー)のイートイン(別府市)。「食に強いコンビニ」であることを活かして書籍・雑誌売場はほぼ廃止され、イートインの増設に充てられた
日本のコンビニ黎明期から永年に亘って「コンビニの窓際」を定位置とし続けてきた書籍や雑誌たち。
誰もが経験したことあるであろう「コンビニの窓際での立ち読み」が、過去の思い出話として語られる日も近いのかも知れない。
<取材・文・撮影/若杉優貴(都市商業研究所)>
【都市商業研究所】
若手研究者で作る「商業」と「まちづくり」の研究団体。Webサイト「都商研ニュース」では、研究員の独自取材や各社のプレスリリースなどを基に、商業とまちづくりに興味がある人に対して「都市」と「商業」の動きを分かりやすく解説している。Twitterアカウントは「
@toshouken」
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