『朝日新聞』は「国家主権を自ら放棄した、初の首相に…元次官のメール」と銘打った1月31日の記事で、安倍首相が国家主権を自ら放棄しているとの批判をした。 「『平和時の外交交渉において国家主権を自ら放棄した歴史上初めての首相になる』。外務次官経験者から熱いメールを受け取った。北方領土4島のうち、返還を求める対象を歯舞群島、色丹島の2島に事実上絞る方針に転じた安倍外交への懸念である。2島の面積は全体の7％に過ぎない。霞が関の知人は『外務省内で4島返還を言えない空気が急に広がった』という」 　ただし2島返還の立場の佐藤氏は、この『朝日新聞』の記事に対して「次官経験者なら自分の名前を出して言うべき。2島返還の方針に転じたのは最近ではなく、昨年11月のシンガポールでの日露首脳会談」などと批判した。そして過去2回、日本側内政の混乱で北方領土返還交渉が成功直前で頓挫したことを踏まえて、佐藤氏は2島返還の方向性を問う総選挙に打って出ることも提案した。 　東京大地塾の最後で鈴木氏は、「これだけは頭に入れてほしいのです。元島民の一番の願いは、いつでも自由に島に行きたい。これが一番です。二番目は1島でも2島でもいい。返していただけるものは返していただきたい。三つ目はあの海を使わせてもらいたい。これが最大公約数ですから」と強調した。 　鈴木氏は安倍首相と昨年13回も面談、今年1月にも会ったという。「面談時間は1回30分くらい。安倍総理からは並々ならぬ決意が伝わってきます」（鈴木氏）。 　2島返還か4島返還か。国論を二分する様相を呈し始めた北方領土交渉から目が離せない。 ＜取材・文・撮影／横田一＞ ジャーナリスト。小泉純一郎元首相の「原発ゼロ」に関する発言をまとめた『黙って寝てはいられない』（小泉純一郎／談、吉原毅／編）に編集協力。その他『検証・小池都政』（緑風出版）など著書多数