ロシア外務省の中心人物「6月の大筋合意は絶対にありえない」
2島返還の立場の元外務官僚、佐藤優氏は「ロシアの露骨な遅延外交戦略が始まった」と指摘
元外務官僚の佐藤優氏も1月31日、「新党大地」(鈴木宗男代表)が毎月開催する勉強会「東京大地塾」で、「ロシア外務省は露骨な遅延外交戦略を取り始めた」と述べていた。
「ロシアのメデイアは北方領土交渉を長期化させようとする意図での報道が目立つ。背後からロシア外務省が働きかけている。その中で中心になっているのが、元駐日大使のパノフさん」と指摘した上で、1月23日の「産経ニュース」の以下の部分を読み上げた。
「今回のメデイアや専門家で特筆するべきことはなかった。パノフ元駐日大使は22日、国営ロシア通信に『ロシアは交渉妥結を急いでいない』との見解を述べた。またパノフ氏は、日本側が模索しているとされる6月の大阪での20か国G20首脳会談での日露平和条約の大筋合意は『絶対にありえない』と否定した」
そして、佐藤氏はこう続けた。
「これはロシア外務省の意向をパノフさんは反映している。(交渉の)テーブルについたらロシア外交官としての職業的良心が出てくるわけ。少しでも延ばした方がロシアに有利だと考えるから。いまロシアの遅延戦術の中心になっているのがパノフさんだよね」
安倍首相のレガシー作りと国政選挙対策のために、国益を損ないかねない領土交渉が進行しているのではないか。「参院選前のG20で成果を出すこと」が至上命題の安倍政権の思惑を読み取ったロシア側が、露骨な遅延外交戦略をスタート、返還交渉のハードルを上げて最大限の成果を手にしようとしているように見える。