悪徳タクシーが多かった東南アジアが一変。伸びる配車アプリ

ヴィナサンタクシー

もちろん、ベトナムのタクシーも悪徳ばかりではない。写真はホーチミン市内を走る優良タクシーヴィナサンタクシー(中央と右)

 昨年春ごろからベトナム在住者や出張者の間から配車アプリ「Grab(以下グラブ)」が便利だという声が聞こえ始めた。  ベトナムでグラブが重宝されるわけ、それは、ベトナムのタクシー事情にある。ベトナムは、日本にはない概念だが優良タクシーと悪徳タクシーに区分されており、8割が悪徳とされる悪徳タクシー天国なのだ。空港や観光地の真ん前で停車しているタクシーは、ほぼ悪徳タクシーで、優良タクシーは空港の端の方に停車しているので知らないければ見つけることができない。  2013年にある月刊誌のホーチミン特集で取材したときには、現地在住の10年クラスの達人からホーチミン市では、安心して乗れるのはヴィナサンタクシー、マイリンタクシー、ヴィナタクシーの3社くらいで他は悪徳タクシーか短期滞在者は利用しないほうがいいタクシーとレクチャーを受けた。  にもかかわらずその翌年、首都ハノイで人生最大額のぼったくりタクシーに乗ってしまったなどベトナムは短期滞在者にとってタクシーがストレス源であり悩みの種だった。それがグラブの登場でガラリと変わるほどインパクトを与えつつあるのだ。

Uberの東南アジア部門を買い取り一人勝ちに

 グラブは2012年に誕生し現在本社はシンガポールにある。グラブの名前が知られるようになったのは2018年3月、世界最大の配車サービスを展開する「Uber」(ウーバー)の東南アジア部門を買い取りサービス範囲を一気に広げたことがきっかけだ。  現在は、シンガポール、マレーシア、ベトナム、タイ、インドネシア、フィリピン、カンボジア、ミャンマーの8か国で展開している。
Googleプレイ

グーグルプレイで検索すると関連アプリが4種類ほど表示されるがこれがグラブ

 グラブのインストールには、SMSで本人確認が必要のため日本で済ませておくか、滞在先で現地SIMを用意しておく必要がある。英語だけの説明だが簡単にインストールできた。  インストール時にクレジットカードを登録する必要があり、日本発行のクレジットカードがそのまま登録でき、運賃はクレジットカードから引き落とされるのでぼったくり被害にあう心配がない。  インストール後、日本でグラブを立ち上げるとサービス提供外と表示されるが、ベトナムやタイへ行ければ正しく機能する。  ちなみに筆者は日本とタイでそれぞれ2台へグラブをインストールしてみたがタイからもでも問題なくインストールできた。  まず最初にタイで使ってみた。
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東南アジア観光客の利用率も高い
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