なぜおせちは「冷蔵」で配達されたのか? 冷蔵冷凍車ドライバーの知られざる苦労

2つの種類がある「冷凍機」

 そんな冷蔵冷凍車の荷室を冷やす「冷凍機」には、主に2つのタイプある。  1つが、大型車に多い「サブエンジン式」で、クルマそのもののエンジンと、荷室を冷やす冷凍機のエンジンが別になっており、クルマのエンジンを切っても、荷室を冷やし続けられるようになっている。  もう1つの「直結式」は、4トン以下のトラックに多くみられる、クルマのエンジンと冷凍機が連動しているタイプで、こちらは、クルマのエンジンを切ると冷蔵冷凍機能も切れてしまう仕組みだ。

要冷蔵の商品を積んだ荷台の様子

 ちなみに、トラックドライバーの実態を書いていると、よく「トラックドライバーは、エンジンを掛けっぱなしにして休憩するな」というコメントが見られるのだが、中にはこうした理由から、「切らない」のではなく「切れない」ことがあることは、是非知っておいてもらいたい(「トラックドライバーがエンジンを切らずに休憩する理由」は、また後日まとめて解説したい)。

冷蔵冷凍車ドライバーの苦労

 こうした冷蔵冷凍車を運転するドライバーには、他のトラックとはまた違った「独特の苦労」がある。  今回のアンケートでも、「冷凍倉庫内に入ると髪の毛やまつ毛がカチコチに凍る」、「メガネが曇る」、「床に滑り止めの無いトラックの場合は足元が滑る」など、様々な声が挙がった。  意外にも多かったのが、「音」によるストレスサブエンジン型の冷蔵冷凍車は、とにかくうるさいのだ。  先述した通り、サブエンジン型の冷蔵車には、クルマのエンジンとは別に冷凍機のエンジンが付いているのだが、そこからは大変大きな音がする。  そのため、長距離運転の途中、仮眠を取ろうとしてもうるさくて眠れないばかりか、周りで同じく仮眠を取っているドライバーに迷惑をかけないよう、別の停車場所を確保せねばならないという気苦労も生じるのだ。  しかし、こうした中でも彼らが最も苦労するのは、やはり「温度」だという。  屋外での荷物の出し入れ時、庫内の冷気が逃げるため、当然「扉の開けっ放し」は厳禁。「開けたらすぐ閉める」が鉄則だ。  しかし、要冷凍・要冷蔵の荷物には、保冷材が付いていたり、荷物自体が「食品のブロック(塊)」だったりして、一般的な雑貨よりも繊細であるくせ重たいものが多く、扉のこまめな「開け閉め」は、ドライバーにとっては想像以上に「大きな仕事」になる。  とりわけ夏場は過酷で、絶対に溶かしてはいけない「アイス類」の需要が増え、より迅速な搬出入が求められるうえ、冷凍倉庫を出入りすると、外気温の差が60度にもなり、自律神経を壊したり、腰を痛めやすくなったりするのだ。
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現役ドライバーはおせちトラブルの原因をどう見たか?
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