イラスト/植田 工
「投資をしても失敗ばかり」「自分はセンスがないのかも?」と悩む個人投資家に朗報だ。投資センスは一切不要、誰でも簡単に資産を増やせる方法がある。その名は「積み立て投資」。これまで見過ごされがちだったそのカラクリに迫る。
サルでもできる簡単手法で上昇しても下落しても儲かる
値下がりしたら損をする、銘柄選びや投資タイミングが重要――。投資家には当たり前となっている共通認識を「すべて誤解」と言い切る専門家がいる。積み立て投資研究の第一人者である、ドルコスト平均法協会代表理事の星野泰平氏だ。
「これらの常識は一括で投資をする人には真実でしょうが、毎月一定額をコツコツ投資する『積み立て投資』ではどれも当てはまりません」
ここでひとつクイズを出題しよう。ある架空の投資信託の基準価額(投資信託の時価)があるとして、10年間の値動きの推移について、
1万円でスタートした直後から大きく値下がりし、5年後にはマイナス80%となる大暴落に見舞われた。
その後少しずつ復調して10年後にようやくスタート時の1万円を回復したものの、こんなひどい成績の金融商品には投資したいと思う人はおそらくいないだろう。なにしろ通常の一括投資であれば、10年もの間、ハラハラさせられただけで、1円の利益も出ていないのだから。
これに対し、
同じ商品で、一括ではなく毎月1万円ずつ10年間積み立て投資した場合、最終的な成果はいくらになるだろうか。①約150万円 ②約196万円 ③約241万円。
図版提供/ドルコスト平均法協会
正解は③241万円だ。10年間で投じた元本の合計は120万円になるので、倍以上に増えた計算だ。途中で大暴落に見舞われたうえ、最終的には元に戻っただけなのに、なぜか資産は倍増しているのである。
このからくりについて、星野氏はこう解説する。