メキシコ・パイプライン火災の根底にある「貧困」問題
SinEmbargo』は<死者73人、負傷者80人、行方不明者71人>と報じた。
火災が発生したのはメキシコの首都メキシコシティーから100キロ北上したイダルゴ州のトゥラウエリパン市(人口1万8000人)で、当地の55%の住民は貧困層だ。61%の住民は最低生活必需品を手にれるだけの収入がない人たちだという。そのような厳しい状況下にある貧困者がパイプラインから噴き出た石油を採集していたのである。
その目的は? それを売って収入を得るためであった。600人から800人が採集に駆けつけていたという。
当日、午後4時50分頃にPEMEX(メキシコ石油公社)のスタッフからパイプラインが違法に穴が開けられたという通報があった。25人程度の軍隊が5時頃に現場に到着し、パイプラインから漏れ出ていた石油を採集している住民をそこから追い出そうとしたが、多勢に無勢で僅かの軍人では600人から800人の住民をそこから追い出すことが出来なったという。特に現場近くで200人余りが集中して採集していたそうだ。
そのあと爆発が起きたのが6時過ぎだったという。火災は5時間余り続き完全に消し止めることが出来たのは夜11時50分。行方不明者の数を考慮すると死者は更に増える見込みだ。(参照:「SinEmbargo」、「El Pais」)
今回の不祥事が起きたパイプラインはトゥクスパンとトゥラ間の13kmを繋ぐ1970年代に建設されたものだ。この区間をパイプラインで輸送される石油の量は1万バレルに相当するものだという。最近3か月の間に10回、違法に穴が開けられたそうだ。
穴を開けて輸送されている石油を抜き出すわけである。それを実施するのは麻薬組織カルテルや小規模の暴力組織に関係したこの作業に手慣れた人たちが行うのであるが、今回の火災事故が発生したのは、口を開けて石油を抜き取ったあと穴を十分に塞ぐことを怠ったようである。その影響で、彼らが抽出して去ったあと石油が漏れてパイプラン内部の圧力が影響して空中に噴き出るようになったのである。それに気づいた地元の住民が転売を目的に駆けつけて採集し始めたのであった。
メキシコで1月18日に発生した石油パイプラインの火災は20日の時点で現地紙『
パイプラインに穴を空ける「盗油」が火災の発端に
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