メキシコ・パイプライン火災の根底にある「貧困」問題

貧困・格差社会を背景に頻発するパイプライン関連災害

 実はこのような惨事は、2010年12月にも起きている。プエブラ州テクスメルカン市でパイプラインが炎上して死者29人、負傷者52人という災難になったのだ。  また昨年は11月にタバスコ州でパイプラインの爆発で4人が死亡、12月にはグアナフアト州でパイプラインの炎上で2000人が一時避難し、40人がガス中毒で入院するという事件があった、(参照:「El Pais」)  アムロは今回の惨事の要因が貧困にあるということを熟知しているようだ。これまで2大政党、制度的革命党(PRI)と国民行動党(PAN)のビエンテ・フォックス、フェリペ・カルデロン、エンリケ・ペーニャ・ニエトの3人の大統領によるこの問題への取り組みがなかったことを批判し、「我々は国民が素直であると信じている。今回のような作業を行っていたのも彼らが見放されていたからだ。我が国には数百万人の貧困者がいる。彼らは最低必需品さえも持っていない人たちだ」と述べた。  貧困者を救出して、このような危険で悪い習慣を繰り返す必要がない社会にすることに取り組んでいくこと。それは、アムロは大統領選挙に立候補した時点から公約していたことだ。(参照:「El Pais」、「SinEmbargo」)  アムロがその公約を果たし、このような痛ましい惨事が二度と起きないよう、抜本的な解決がなされることを願ってやまない。 <文/白石和幸> しらいしかずゆき●スペイン在住の貿易コンサルタント。1973年にスペイン・バレンシアに留学以来、長くスペインで会社経営から現在は貿易コンサルタントに転身
しらいしかずゆき●スペイン在住の貿易コンサルタント。1973年にスペイン・バレンシアに留学以来、長くスペインで会社経営から現在は貿易コンサルタントに転身
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