この時期、統一教会のフロント政治組織が開いた複数の大会に文部科学省関連の役職に就く自民党の政治家が来賓出席していたことが判っている。これらの文科省系の議員と統一教会の癒着は翌年、ある腐った果実を実らせることとなる。
2015年8月27日、統一教会は教団名を『世界基督教統一神霊協会』から『世界平和統一家庭連合』に改称した。同月31日、公式サイトで名称変更を発表した教団は、翌16年8月26までの1年間、旧名称を併記するとした。
教団名変更を伝える教団公式サイト
1997年に文鮮明が世界各国の教団組織へ名称変更を指示して以降、各国では随時申請が行われ教団名の改称が進んだ。しかし、日本では一向に認証までには至らなかった。統一教会広報局によると、97年から度々名称変更の申請を文化庁に打診するも一向に取り合ってもらえなかったという。宗教法人を所轄する同庁宗務課としては、必要書類を揃えた申請書を受け取ってしまうと認証せざるを得ないため、申請自体をさせなかったのだ。事実、それまでに何度も文化庁側へ統一教会の名称変更を認証しないよう申し入れていた全国霊感商法対策弁護士連絡会(全国弁連)に対し、同庁の担当者は「あんな訴訟ばかり起こされている教団の名称変更を認めるわけがない」と答えていた。文化庁は悪名が通っていた『統一教会』の名称変更を、頑として認めてこなかったのだ。
では、文化庁が一転して認証に転じた背景にあったものは何か。同庁を訪ね「なぜ名称変更を認めたのか」と詰問する全国弁連の弁護士に応対した宗務課職員は、煮え切らない態度でこう答えたという。
「書類が揃っていて申請を受けたら認証せざるを得ない」
この不可解な名称変更認証によって、全国弁連や日本脱カルト協会からは勧誘被害の増加を懸念する声が挙がった。統一教会信者が街頭や訪問先で伝道目的を隠匿して勧誘を行なう際に「世界平和統一家庭連合」とだけ名乗られても、被勧誘者には「霊感商法の統一教会」とは判らないからだ。
それまで拒み続けてきた問題教団の法人名変更をなぜ文化庁が認証してしまったのかという疑問に対する答えは思いがけないところから明らかとなる。