話している最中の、ひとつひとつのフレーズの最初や最後に入れる方法もあり、それは別の機会に紹介するが、そちらは相手を引きつけるためにとても効果が高い方法だ。しかし、難易度が高いので、相手の目を見て話せない人がまず身につけるスキルということでは、話はじめがオススメだ。
世に出ている解説の類は、複雑なことを難しく表現してしまっているケースが実に多い。それがスキル向上の妨げになってしまっている気がしてならない。
このような考え方に基づいて、私は「相手を見るタイミングをつかめない」という質問に対しては、以下のように平易に回答している。とても簡単なんことなので、是非、今日から試してみていただければ幸いだ。
質問:相手をみるタイミングをつかめない
できるだけ相手を見て話そうとするのですが、どういうタイミングで相手を見ればいいかわかりません。相手を見ようと思うと話がうまくできなくなってしまい、うまく話そうと思って内容に気をとられると、相手を見ることを忘れてしまいます。どうすればいいのでしょうか?
回答:話しはじめに相手を見る
「話しはじめるときにだけ、相手を見る」ということを心掛けてはどうでしょうか。話しはじめたら、あとは話の内容に集中すればいいのです。慣れてきましたら、話しはじめるときだけではなく、フレーズの最初に相手を見るように努めていくことをオススメします。それができるようになると、相手を見て1フレーズ話す。また相手を見て1フレーズ話すというリズムができてきます。
焦らずに、スキルを分解して簡単なものから試してみてほしい。結果的にはより早く、目標にたどり着けるだろう。
【山口博[連載コラム・分解スキル・反復演習が人生を変える]第119回】
【山口 博(やまぐち・ひろし)】グローバルトレーニングトレーナー。モチベーションファクター株式会社代表取締役。国内外企業の人材開発・人事部長歴任後、PwC/KPMGコンサルティング各ディレクターを経て、現職。近著に『チームを動かすファシリテーションのドリル』(
単行本、
新書、ともに扶桑社)、『
99%の人が気づいていないビジネス力アップの基本100』(講談社)、『
ビジネススキル急上昇日めくりドリル』(扶桑社)がある