「相手の目を見て話せない」。そんなときは「分解」して反復練習

「相手の目を見て話せない」と思ったら、背筋を伸ばす。そうすると、結果として目を見て話せるようになる。前回紹介したとおり、相手の目を見て話そうと意識しすぎて、無理に視線を合わせるよりも、実は効果のある方法だ。

話のはじめに動作することがスキル向上の早道

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 身につけたいスキルをパーツ分解していって、実現したい能力を発揮するためのコアスキルを見極めていく。それを反復演習していくことで、スキルが身につきやすくなるのだ。これが本連載のタイトルにもなっている、分解スキル反復演習の効能だ。 「相手の目を見て話す」というと、とても簡単なことのように思えるかもしれない。しかし、それをできていない人が克服するためには、実はさまざまな分解スキルを発揮しなければならないのだ。  相手の目を見て話すということだけでも、さまざまなパーツスキルを組み合わせて発揮して、はじめてスマートに繰り出せるようになる。たとえば、そのとき顔はどうしていればいいのか、背筋はどうしていればよいのか、いつ相手の目を見ればいいのか、話す際の口元はどのような表情にすればいいのか……。

一度に全体を考えず、まずは「分解」せよ

 これを一度にやろうとするから、結局、どうすればいいのかわからないとあきらめてしまったり、頭ではわかっているけれども行動で発揮できないということになってしまったりする。  そこで、ひとつひとつ分解スキルを見極めて、相手の目を見て話すためにはそもそも顔を上げる。顔を上げただけでは上目遣いになってしまいがちなので、背筋を伸ばす……というように、ひとつひとつのスキルを反復演習していくのだ。ひとつできるようになったら、次のスキルを身につけるようにすればいい。  20年来、この方式でスキル修得をサポートしてきたが、ひとつのスキルを身につけるのには、15分とかからない。筆者の『ビジネススキル急上昇日めくりドリル』でも、こうしたひとつひとつのスキルを身につける方法を紹介している。  それでは、相手の目を見て話すために背筋を伸ばして顔を上げるといっても、いったいどのタイミングで、そうすればいいのだろう? 話はじめるときだろうか? それとも話の最後だろうか? フレーズの最後だろうか? フレーズの中間だろうか?  これまでの演習経験をふまえると、話はじめに実施することがもっとも演習効果が高く、背筋を伸ばして顔を上げることを実現できる人が多い。従って、このスキルを身につけるためには、話はじめに実行することを基本の型と称してオススメしている。  なぜ、演習効果が高いかといえば、実は当たり前のことで、話はじめに背筋を伸ばして顔を上げるということがもっとも簡単に実行しやすいからだ。話の途中だと話をするという口頭の表現と、顔や背筋の動作という動作の表現、両方を駆使しなければならない。修得するまでは、口頭の表現に意識がいけば動作の表現がおろそかになったり、その逆になったりして、うまく発揮できないものだ。  しかし、話はじめであれば、まずは背筋を伸ばして顔を上げるという動作の表現をする。次に動作の表現をすることは一旦忘れて、口頭の表現に移るので、実現しやすいというわけだ。  同じ観点から、話の最後に背筋を伸ばして顔を上げるということも、話はじめに次いで実行しやすい。口頭の表現が終わったら、動作の表現をするということを心がけておけばいいからだ。しかし、話はじめに比べて、話終わりのほうが圧倒的に「動作の表現をつい忘れてしまって発揮しなかった」というケースが多い。
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大きな問題を分解して、シンプルなものに置き換える
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