中国の景気、中東情勢…2019年の原油価格はどうなるか? 投資戦略を考える

中国の新車

原油需要のカギを握る中国の新車販売台数は低迷している。EV化傾向なども市場に影響を与える一因 写真/AFP=時事

レンジ下限で買い、上限で売る手投資が有効

 投資するなら、まずは原油価格の国際指標のなかでも情報を入手しやすいWTIの動きを注視しておこう。 「60ドルの節目まで下落したら、買いのタイミング。利益確定は70ドルの節目が当面の目標になりそうです」  また、商品相場に詳しいコモディティーインテリジェンス代表の近藤雅世氏は、’19年の原油価格について「原油そのものの需給に加え、アメリカの在庫やシェールオイル生産などさまざまな要因で価格は変動するが、最終的には産油国の生産量調整が価格維持に効くので、大きなトレンドはできにくい」と予想する。
原油価格の推移とレンジ設定

《原油価格の推移とレンジ設定》60ドルを下限、75ドルを上限として、売買の基準にする手段も有効だ

「1バレルあたり60ドルから80ドルの間は、売り手にとっても買い手にとっても居心地の良い価格帯なので、この範囲の中で変動を繰り返すと考えられます。ここ1年ほどは60ドルを下限とし、75ドル近辺を上限とするレンジ相場が続いているので、当面はこのレンジ下限で買って、上限で売るという戦略が手堅い取引になりそう」  奇しくも、予想する値幅や投資戦略は、吉田氏の意見とほぼ一致している。

投資するならガソリンより原油がシンプル

 ちなみに原油に投資する場合の投資対象としては、東京商品取引所に上場するプラッツドバイ原油がある。原油価格の指標はWTIのほかに、「ブレント原油価格」「ドバイ原油」という指標があり、プラッツドバイ原油はその名の通り、「ドバイ原油」が指標となっている。WTIとは価格差が生じる可能性があることには注意しておきたい。 「東京商品取引所の先物銘柄には、灯油やガソリンなどの、石油製品も多くあります。国内要因や季節要素など考慮すべき点が増えることを考えれば、投資するなら原油が、シンプルでわかりやすいでしょう」(吉田氏)
ガソリンの日足チャート

ガソリンの日足チャート

 また、東証にも「WTI原油価格連動型上場投信」(1671)など、原油に投資できるETFが複数上場している。株と同様に売買できるので、商品先物には抵抗があるという人にも手軽に投資できるはずだ。  大きな上昇が見込めるわけではないものの、’19年の原油相場は手堅い投資が期待できそう! 《ガソリンの変動要因》 ●米ドル・円相場 ●夏場の気温 ●国内での在庫 ●輸入原油価格 ●製油所の安定性 【近藤雅世氏】 コモディティーインテリジェンス取締役社長。著書に『元金30万円から始める商品先物ネット取引入門』(実業之日本社)など 【吉田 哲氏】 楽天証券経済研究所コモディティアナリスト。商品の個別銘柄や分析、情報配信を行い、初心者から上級者まで幅広い層に解説する 【小針秀夫氏】 トーキョー・トレーダーズ・タイムズ代表取締役。産業素材分野を中心に、石油、ゴム、金、農産物など幅広く市場分析を行う ― 商品先物取引でがっつりハイリターン! ―
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