一方、楽天証券経済研究所コモディティアナリストの吉田哲氏は、「年末までは下落基調が続くが、年明けには上昇に転じるのではないか」と予測していた。その根拠は、主要生産国が、1月からも減産を実施することを念頭に置き「駆け込み増産」を行っているとみられることだ。
OPECの原油生産量
「世界の主要産油国で構成される石油輸出国機構(OPEC)などは、’17年1月から原油価格を高値で維持するため、2年間、協調減産を行ってきました。’18年末にその期限が切れますが、’19年からも減産を実施することを意識してか、秋ごろから『駆け込み増産』とみられる行為が確認されています」
こうした駆け込み増産は、’17年1月の減産開始直前にも行われたそう。
「減産を開始することを前提として、あらかじめ増産をしておき、生産量の基準を上げておくのです。減産開始後、生産量を駆け込み増産前の水準に戻しただけで減産を実施しているように見せることができます。前回も駆け込み増産した結果、’17年1月からの大幅に減産をしていると市場にアピールでき、需給が引き締まるという印象を与えて、年中盤からの価格上昇につながりました」
実質的にはたいした減産をすることなく原油価格を上昇させたOPECの「成功体験」は、’19年も繰り返される可能性があるのだ。
《原油の変動要因》
●米ドル・円相場
●世界経済
●中東情勢
●アメリカの原油在庫
●OPECの原油供給