その作品賞だが、今年の場合は大混戦で『Roma /ローマ』『アリー/スター誕生』『グリーン・ブック』の3作品のうちのいずれかになるだろう。
下馬評で強いのは、これまでの前哨戦で圧勝している『Roma /ローマ』だが、この映画の場合、過去にオスカーの作品受賞作で前例のない「非英語作品(同作はスペイン語映画)」であり、劇場公開のないNetflixが配給のため、組合員の反感も根強い。『アリー/スター誕生』も評判はいいが、リメイクや音楽映画はオスカーではあまりウケがよくない。
この2作より評判は地味だが、ゴールデン・グローブでコメディ部門で作品賞受賞の『グリーン・ブック』は地味ながら好作で、「漁夫の利受賞もあり得るのでは」と言われている。この3つに、BAFTAで最多12部門にノミネートされた『女王陛下のお気に入り』を加えた4つが作品賞争いをするだろう。
筆者の作品賞予想では、『Roma/ローマ』が30%、『スタ誕』と『グリーン・ブック』が25%ずつ、『女王陛下』が10%とするなら、『ボヘミアン・ラプソディ』はせいぜい、5~10%と言ったところだろうか。
いっぽう、フレディ役のラミ・マレックだが、万全でこそないが、こちらの主演男優賞受賞の可能性はだいぶ高い。ノミネートから外れる可能性はまずないだろう。
この部門でのライバルは『スタ誕』のブラッドリー・クーパー、『グリーン・ブック』のヴィゴ・モーテンセン、『Vice』での特殊メイクでのディック・チェイニー元米国副大統領を演じて話題のクリスチャン・ベールとなる。
現時点で、この4人のなかで飛び抜けてリードしている人はいないが、ゴールデン・グローブでラミが勝利したことは大きい。1月27日に発表のSAGアワードで主演男優賞を受賞すれば、オスカーでの勝利に王手がかかると筆者は見ている。
アカデミー賞の授賞式は2月24日。だが、その前に、今月22日に行われる同賞ノミネートに注目だ。
<取材・文/沢田太陽>