『ボヘミアン・ラプソディ』はオスカーで勝てるのか? 作品賞受賞の確率は10%以下

ゴールデン・グローブの少し前から評価が上がっていた

 ところが、その前哨戦映画賞において『ボヘミアン・ラプソディ』は遅れて評価され始めていた。それは、その「前哨戦」とやらが、途中から主催傾向が変わるためだ。  11月末から12月中旬までは「(都市名)映画批評家協会賞」と言って、全米の地方の映画批評家が選ぶものなのだが、12月後半から1月にかけては、オスカーの実際の投票者である、ハリウッドに従事する「組合員(ギルド)」が選ぶアワードに切り替わり始めるためだ。  オスカーの場合、どんなに地方映画賞の成績がよくても、ギルドのウケが悪いとノミネートされない仕組みになっているのだが、『ボヘミアン・ラプソディ』はこのギルド系アワードで最も影響力のあるものの2つ、俳優組合による「スクリーンズ・アクターズ・ギルド・アワード」(SAG)と、製作者組合による「プロデューサーズ・ギルド・アワード」(PGA)の2つに作品賞としてノミネートされた。  欧米には「オスカー予想のプロ」と呼ばれる専門家も少なくないが、彼らの多くも、この2つにノミネートされたことで「『ボへミアン・ラプソディ』の株が急に上がった」と読み始めていた。その矢先でのゴールデン・グローブ作品賞受賞だったのだ。  ゴールデン・グローブで勝利しても、オスカーの作品賞を取れるとは限らない。だが、ノミネートには圧倒的に有利となる。  過去71回のゴールデン・グローブの歴史で、ドラマ部門の作品賞受賞映画がオスカーの作品賞にノミネートされなかったのはたったの3回しかなく、1965年以降は54年間、ノミネートから漏れたことはない。  また、9日に発表された、クイーンの本国でもある、イギリスでのアカデミー賞に相当する「BAFTA(英国アカデミー賞)」でも、この映画はノミネート数で2位タイにあたる7部門でノミネートされている。  そう考えると、『ボヘミアン・ラプソディ』がオスカーの作品賞にノミネートされる確率は、先述のギルド系アワードでの実績も鑑みて「97%は確実」と見ることができるだろう。  ただ、それでも、オスカー本番で『ボヘミアン・ラプソディ』が作品賞を受賞できる確率は「かなり低い」と言わざるをえない。  それは、この映画の「監督賞」としての評価が低いためだ。オスカーの場合、この部門が弱いと作品賞ではまず本命にはなれないのが通例だが、この映画の場合、ギルド系のアワードの最大のもの、「全米監督協会賞(DGA)」での監督賞候補5人の候補から漏ているほか、ほかのアワードでも、監督の部門ではほとんどノミネートされていない。過去のデータから見ても、その状況では作品賞受賞はまず無理だ。
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フレディ役は受賞の可能性大
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