「今より悪くなったら死ぬしか選択肢がない」格差社会の底辺で生きる人々の叫び

 ’19年10月の消費税増税は、新たな下流社会の幕明け―。賃金が一向に上がらないままでの増税は、消費が確実に低迷し、企業の収益や税収が悪化、賃金はより下降して、本格的な“デフレ”の再来が懸念されている。さらに外国人受け入れ問題、急速に活用が進むAI(人工知能)など、誰もが当事者たり得る“下流転落の火種”が忍び寄る。僕らの未来にあるのは希望か絶望か。

底辺にいるボクたちは、もう死ぬしかないのか

仮名

小松さん・中村さん・室橋さん(全て仮名)

 下流の中でもさらに“底辺”に陥ってしまった人たちは、迫り来る不況をどう感じているのか。そこでネットカフェ難民の小松勇気さん(仮名・26歳)、格安シェアハウスに住む中村真司さん(仮名・35歳)、50代単身女性でゴミ屋敷に住む室橋朝子さん(仮名・54歳)に、今後の行く末について鼎談していただいた。 《鼎談参加者》 ●小松勇気さん(仮名・26歳)…年収130万円。日雇いバイトで何とか生きているネットカフェ難民。ネカフェ代が足りないときは野宿をせざるを得ない日もある ●中村真司さん(仮名・35歳)…年収50万円、ニート歴10年。月3万円のシェアハウスに住み、貯金を切り崩しながら生活している。最近日雇いを始めた ●室橋朝子さん(仮名・54歳)…年収140万円。ぱっと見は清潔感のある上品な熟女だが、家は盛大なるゴミ屋敷。給料日前は食うに困ることもあると話す 小松:最近、僕の住まいのネットカフェに、若者だけではなく中年も増えてきました……。日雇いの人たちが、シャワーに行列をなすこともザラ。下流落ちの人たちが徐々に増えているんですかね。 中村:僕の住むシェハウスにも、路頭に迷った中年や外国人労働者たちが入居してきますよ。たった3万円の家賃も滞納して、不動産屋に追い出された人を見ると、もう切なくなる……。

ネットカフェ1か月パックに難民たちが群がっています(小松さん)

ネットカフェのカード

小松さんのネットカフェのカードの山。1か月パックを利用する前までは毎晩いろんな店舗を渡り歩いていたそうだ

小松:貧困ビジネスが普及しているのが顕著なのが、ネットカフェに“1か月パック”が最近導入されていることです。どの店も3万~5万円の幅で使い放題で、難民たちが群がっている。 室橋:それならアパートを借りたほうが安いのでは? ゴミ屋敷だけど家賃4万円なので。 中村:いや、最初の敷金・礼金すら捻出できないのが、ボクらなんですよ(苦笑)。前にシェアハウスの中で、冷蔵庫の中の食材が盗まれる事件も多発したんです。防犯カメラで見たら、犯人は複数人いたというのが衝撃的で……。 小松:だからゴミ屋敷でも、家があるのはリッチですよ(苦笑)。 室橋:いやいや、私自身も本音を言えば、こんな家に住みたくない。困窮の果てにできあがってしまったんですよ、ゴミ屋敷が。 小松:どういうことですか?
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掃除のできないタイプではない
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