「テロリスト」として殺される人々の多くは、実は一般市民。安田純平氏が語る「戦場に行く理由」

政府に従わない者を叩く風潮に与する必要はない

米軍の占領下にあったイラク・バグダッド(筆者撮影)

米軍の占領下にあったイラク・バグダッド(筆者撮影)

 さらにTBS「報道特集」キャスターの金平茂紀さんは「『自己責任』というものの背景にあるのは、政府に従わない者を叩く、今の政権を支持する者が声高に主張しているということです」と指摘した。 「そういう政権が好きで仕方ない人々で、今のメディアが成り立っている、ということもある。もともと自己責任論というのは、新自由主義経済のもと、政府の(人々の生活に対する)責任を軽くする文脈で出てきた言葉なんですね。いま言われている『自己責任論』も、要するに『非国民』叩きです。そのような風潮に(日本の人々や報道関係者が)与する必要はまったくない」(金平さん)  筆者の実感としても、紛争地取材や現地の状況に疎い人々ほど、安易に「自己責任」バッシングに加わっているというのを感じる。しかし、紛争地取材を行う同業者には、安田さんの仕事ぶりを高く評価する者も多い。安田さんに批判的な人々にも、まずは安田さんの著書を読んでからものを言ってもらいたい、と同業者の一人として願うばかりだ。 【ニュース・レジスタンス】 取材・文/志葉玲(ジャーナリスト)
戦争と平和、環境、人権etcをテーマに活動するフリージャーナリスト。著書に『13歳からの環境問題』(かもがわ出版)、共著に『原発依存国家』(扶桑社)、 監修書に『自衛隊イラク日報』(柏書房)など。
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シリア拘束 安田純平の40か月

2015年6月に取材のためシリアに入国し、武装勢力に40か月間拘束され2018年10月に解放されたフリージャーナリスト・安田純平。帰国後の11月2日、日本記者クラブ2時間40分にわたる会見を行い、拘束から解放までの体験を事細かに語った。その会見と質疑応答を全文収録。また、本人によるキーワード解説を加え、年表や地図、写真なども加え、さらにわかりやすく説明。巻末の独占インタビューでは、会見後に沸き起こった疑問点にも答える