「テロリスト」として殺される人々の多くは、実は一般市民。安田純平氏が語る「戦場に行く理由」

日本に「戦争を知っている人間」がいるということが重要

 この日のシンポジウムでは、マスメディアで活躍してきたベテランのジャーナリストたちも次々と発言した。元『朝日新聞』中東アフリカ総局長で、現在はフリーで活動する川上泰徳さんは、「イスラム国というのは、米国の誤った対テロ戦争が生み出した結果」と喝破する。 「イラクのイスラム教スンニ派の民衆たちは、米国の『対テロ』の対象として殺され続け、イスラム国という過激で排外主義的な集団とつながらざるを得なかった。イラク戦争によってそうした状況が作られ、シリアへも広がっていった」(川上さん)  共同通信編集委員の原田浩司さんは、「日本に戦争を知っている人間がいるということが重要」と語った。 「僕の体験で言うと、この数年、沖縄で取材しているのですけども、夜間に米軍が辺野古の近くで実弾や砲撃を使った演習していたり、装甲車が走ったりするのを見て、どこかで見たことあるな、と思ったんですよ。で、ハッと気がついたのが、イラク戦争の時、米軍によるバグダッド占領で見た光景とそっくりだと。  在沖米軍のオスプレイや大型ヘリが落ちて、現場を米軍が封鎖して日本人が近づけないというのも、見れば見るほど本質的にバグダッド占領と同じなんだと気づきました。沖縄の取材でも、イラクでの取材経験が活きてきたんじゃないかな、と思います」(原田さん)
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政府に従わぬ者を叩く風潮に与する必要はない
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シリア拘束 安田純平の40か月

2015年6月に取材のためシリアに入国し、武装勢力に40か月間拘束され2018年10月に解放されたフリージャーナリスト・安田純平。帰国後の11月2日、日本記者クラブ2時間40分にわたる会見を行い、拘束から解放までの体験を事細かに語った。その会見と質疑応答を全文収録。また、本人によるキーワード解説を加え、年表や地図、写真なども加え、さらにわかりやすく説明。巻末の独占インタビューでは、会見後に沸き起こった疑問点にも答える