「辺野古埋め立て土砂に赤土使用で、環境に悪影響」との批判に、現実を隠し言い逃れる菅官房長官

 昨年末の12月26日、野党国会議員が米軍基地建設の進められている沖縄県・名護市辺野古を訪れ、周辺海域をグラスボートで現地視察した。そのころ官邸では、会見を行う菅義偉官房長官と『東京新聞』社会部の望月衣塑子記者との“バトル”が始まり、埋め立て用土砂の違法性問題が取り上げられていた。

記者が指摘「埋め立てが適法に行われているか、確認をしていないのでは」

運搬船に積まれた土砂

運搬船に積まれた、辺野古埋め立て用の土砂。遠目に見ても赤みを帯びているのがわかる

望月記者:沖縄辺野古についてお聞きします。民間業者の仕様書には「沖縄産の黒石岩ズリ」とあるのに、埋め立ての現場では赤土が広がっております。琉球セメントは県の調査を拒否していまして、沖縄防衛局は「実態把握ができていない」としております。埋め立てが適法に進んでいるのか確認ができておりません。これ、政府としてどう対処するおつもりなのでしょうか。 菅官房長官:法的に基づいてしっかりやっております。 望月記者:「適法がどうかの確認をしていない」ということを聞いているのです。粘土分を含む赤土の可能性が指摘されているにもかかわらず、発注者の国が事実確認をしないのは行政の不作為に当たるのではないでしょうか。 菅官房長官:そんなことはありません。 望月記者:それであれば、政府として防衛局にしっかりと確認をさせ、仮に赤土の割合が高いのなら改めさせる必要があるのではないでしょうか。 菅官房長官:今答えた通りです。

菅官房長官は「赤土」「岩ズリ」の違いを理解していない!?

沖縄県知事選の菅長官

昨年9月の沖縄県知事選で応援演説に立つ菅官房長官(右端)

 9月の沖縄県知事選でも菅官房長官は権限もないのに携帯料金値下げが実現するかのように印象づける演説を堂々と行ったが(参照:「沖縄知事選挙の演説で、菅義偉官房長官に『公職選挙法違反』疑惑が浮上!? 携帯料金4割値下げの権限は国にも県にもない!」)、官邸での会見でも一目で事実誤認と分かる発言をしたのだ。  野党議員の辺野古現場視察を紹介した記事(参照:「辺野古土砂投入で危機迫るサンゴ群落。『ローラさんらに見に来てほしい』とグラスボート船長が訴え」)にある通り、運搬船上の埋め立て用土砂は赤みを帯びており、細かい粘土質の「赤土」を含んでいるのは現場を見れば一目瞭然。すぐにバレる嘘を、菅官房長官は平然とついたことになる。  なお「赤土」か「岩ズリ」では、海の環境に与えるインパクトが全く違う。上記の記事で伊波氏が説明した通り、「台風襲来による埋立護岸損傷で、粒子が微細な粘土質の赤土が流出した場合、長時間漂って周辺海域に深刻な悪影響を与える。一方、粒子が大目の岩ズリはすぐに沈んでしまう」という。沖縄県には赤土等流出防止条例があり、辺野古埋め立て用の土砂が「岩ズリ」に限定されている環境上の意味を、菅官房長官は全く理解していないといえるのだ。
次のページ 
「記者質問が事実誤認」とレッテル貼り
1
2
3