初武道館公演を控えたラッパー・般若。MCバトル界に与えてきた影響を振り返る<ダメリーマン成り上がり道#13>

 尊敬する人に認められたい。より大きく成長して、その人を驚かすような仕事をしてみたい……。人への憧れ、尊敬から生まれる向上心は、仕事を続けるうえで大きなモチベーションとなる。戦極MCBATTLE を主催するMC正社員にとって、その憧れの人は、ラッパーの般若だった。

ラスボスとして完全復活を遂げた瞬間

般若オフィシャルサイトより

 連載『ダメリーマン成り上がり道』の第13回は、前回に引き続き1月11日に日本武道館でのソロライブを控えた般若について、MC正社員がその魅力を語る。  MC正社員は自ら主催するMCバトルの大会『戦極MCBATTLE』に、般若を2回ライブゲストとして呼んでいる。 「最初に呼んだのは『戦極MCBATTLE 第7章 vs THE罵倒2013特別編』。自分が大会のオーガナイザーになったあとは、般若さんをライブで呼ぶのがひとつの目標でした。でもこのときは、実際に会うとほぼ喋れませんでしたね。好きすぎて」  少し話をできるようになったのは、次に般若をゲストに招いた『戦極 MC BATTLE第13章 全国統一編』のときだという。 「このときは初開催のO-EASTをパンパンにできて、自分の作った大会のパワーを般若さんにも見てもらえた手応えがあった。終了後には『今日はありがとう』って声をかけてもらえたんです。そのときはじめて、『俺のことを認識してもらえたんだな』と実感できました」  いっぽうで、テレビ朝日で’15年9月から放送がはじまった『フリースタイルダンジョン』で般若がラスボスとして出演することには、複雑な気持ちを抱いていたという。 「俺は般若さんのインタビューもずっとチェックしていたんですけど、『MCバトルには出ない』『興味がない』ということをよく言っていたので、『般若さん出ないっていってたのに……』みたいな気持ちもあって。あと、MCバトルの大会をずっと続けてきたのに、テレビで番組が始まるときに、自分に何の声もかからなかったのも寂しかった。二重にショックでしたね」  だが、そういったマイナスの感情はすぐに消えることになる。キッカケは、『フリースタイルダンジョン』の2回目の収録で、般若のバトルを目の前で見たことだ。チャレンジャーの焚巻が、サイプレス上野、R-指定、漢 a.k.a. GAMIを破り、ラスボスの般若に挑んだ“神回”の収録だった。 「当時、バトルで最強だったR-指定も負けて、般若さんが出てきたんです。『そんな強敵相手に、もう8年くらいバトルをしてない般若さんが勝てんの?』という不安もあったし、『2回目の収録で般若さん負けちゃったら、番組的にもヤバくね?』というザワつきもありました。でも、いざバトルが始まったら、最初のアンサーから般若さんはめちゃくちゃラップできていた。『バイトじゃねえ 俺はヒップホップに就職』ってラップをはじめた瞬間に、会場がブチ上がったのを覚えています。UMB2008のときと同じで、般若さんのバトルには人を魅了する力があるんですよね」  このバトルでも、般若のラップは圧倒的な熱量。「誰も俺に勝てねぇ」と力強くラップしつつ、「勝ち負けそんな関係ねえから お前のライム早く聞かせてくれ」と、一世一代の勝負に挑む焚巻の熱量をさらに引き出そうとしているのも印象的だった。
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理想の上司のようなカリスマ性
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