映像で確認する「ご飯論法」(初級編)。高プロが労働者のニーズに基づくという偽装を維持した詐術

不都合な事実を隠すための「ご飯論法」

 つまり「ご飯論法」は、不都合な事実を隠すために駆使される詐術なのだ。単に答弁が粗雑なのではない。「粗雑な答弁」とみると、根深い問題を直視できなくなる。  むしろ、「いかに騙すか」と、周到に準備されているのが「ご飯論法」だ。だから、論点ずらしの「ご飯論法」を許さない姿勢を私たちが示さなければ、不都合な事実が隠されたまま、政権に都合がよいように法改正がされてしまうのだ。 「ご飯論法」とは、不都合な事実を隠し、野党を、そして国民を騙すために用いられる答弁手法なので、野党の追及が甘いなどと、野党に問題の責任を転嫁するのでは、ことの本質を見誤る。そして、「ご飯論法」が常態化していることに私たちが慣れてしまうのが危険であることもわかっていただけるだろう。  だから、わかりにくくても、「ご飯論法」とはどういうものであるかを的確に理解していただきたいのだ。特にメディアの方々には。国会を形骸化させて自分たちに都合のよい法制度の制定をどんどん進めていく、そのような暴走を許さないためにも。 <文/上西充子 Twitter ID:@mu0283> うえにしみつこ●法政大学キャリアデザイン学部教授。共著に『就職活動から一人前の組織人まで』(同友館)、『大学生のためのアルバイト・就活トラブルQ&A』(旬報社)など。働き方改革関連法案について活発な発言を行い、「国会パブリックビューイング」代表として、国会審議を可視化する活動を行っている。『緊急出版! 枝野幸男、魂の3時間大演説 「安倍政権が不信任に足る7つの理由」』の解説、脚注を執筆。
Twitter ID:@mu0283 うえにしみつこ●法政大学キャリアデザイン学部教授。共著に『大学生のためのアルバイト・就活トラブルQ&A』(旬報社)など。働き方改革関連法案について活発な発言を行い、「国会パブリックビューイング」代表として、国会審議を可視化する活動を行っている。また、『日本を壊した安倍政権』に共著者として参加、『緊急出版! 枝野幸男、魂の3時間大演説 「安倍政権が不信任に足る7つの理由」』の解説、脚注を執筆している(ともに扶桑社)。単著『呪いの言葉の解きかた』(晶文社)、『国会をみよう 国会パブリックビューイングの試み』(集英社クリエイティブ)ともに好評発売中。本サイト連載をまとめた新書『政治と報道 報道不信の根源』(扶桑社新書)も好評発売中
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