「ハンドルを握ると人が変わるドライバー」の特徴とは? 元トラック運転手が解説

「アンガーマネジメント」で脱「イライラ運転」

 これら「イライラ」の根源にあるのは、「怒り」という感情だ。  一般的に、怒りをコントロールすることを「アンガーマネージメント」というのだが、日本人はこのアンガーマネージメントが非常に苦手である。  現に、世間を騒がせた「怒り」にまつわる事件・事故は、今年だけでも煽り運転や、スポーツ界の体罰・暴行・パワハラ問題、新幹線殺傷事件、芸人のインスタライブ発言と枚挙にいとまがなく、身近なところでも、SNSを開けば怒りに任せた暴言合戦が嫌でも目に入ってくる。  そんな怒りが蔓延する社会を生き抜くためには、もはや必要不可欠なスキルともいえるアンガーマネージメントなのだが、これを遂行するうえで、絶対に得ておかなければならない行為がある。 「許す」こと、「受け流す」ことだ。  例えばドライバーの場合、自分はルールやマナーをしっかり守り、相手の違反には寛容になる。そうすることで、結果的に自分が怒りの感情に振り回されずに済むのだ。  しかし、それが容易にできていれば、今頃誰も怒ってはいないところ。巷では「大きく深呼吸してみる」、「怒りのピークである直後の6秒間、思考停止してみる」など、「怒りの鎮め方」が数多く紹介されているのだが、それらでも怒りが収まらないドライバーは、一度その怒りを、同じ感量の「哀れみ」に変えてみるといい。元々、超が付くほど短気だった筆者も、これで運転中の怒りを何度も鎮めてきた。 「人を哀れむ」と聞くと、あまりいいように聞こえないかもしれないが、「鉄を身にまとい合う一期一会のクルマ社会」では、「あんな運転しかできないのか、可愛そうに」といった同情を注ぎ、瞬間的な怒りを鎮めたほうが、不要なトラブルの回避に繋がることが多いのだ。  怒りは強い感情であるがゆえ、コントロールしないと冷静さを瞬時に奪う。不要なトラブルに巻き込まれないためにも、自分の感情は、自分でコントロールできるようにしておきたいものだ。 【橋本愛喜】 フリーライター。大学卒業間際に父親の経営する零細町工場へ入社。大型自動車免許を取得し、トラックで200社以上のモノづくりの現場へ足を運ぶ。日本語教育やセミナーを通じて得た60か国4,000人以上の外国人駐在員や留学生と交流をもつ。滞在していたニューヨークや韓国との文化的差異を元に執筆中。
フリーライター。元工場経営者、日本語教師。大型自動車一種免許取得後、トラックで200社以上のモノづくりの現場を訪問。ブルーカラーの労働環境問題、ジェンダー、災害対策、文化差異などを中心に執筆。各メディア出演や全国での講演活動も行う。著書に『トラックドライバーにも言わせて』(新潮新書) Twitterは@AikiHashimoto
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