「オプジーボ」をはじめ、6種類(’18年11月現在)の免疫チェックポイント阻害薬が登場 写真:時事通信社
だが、いくつか問題も残されている。一定の割合で効くが、平均すると2割前後。薬価も非常に高く、投与前に効果をはかる方法はなく、効いている人にはいつまで投薬すればいいかわからない。
残りの8割の患者に対しては、「いかにたくさんのキラーT細胞をがんの中に向かわせるかが必要。まだまだペプチドワクチンも使い道があると思いますし、がんと戦えるキラーT細胞を体の外で大量に作ってそれを患者に投与する治療法も有効だと考えます」という。
がん細胞の表面のタンパク質に結合する抗体の部分とキラーT細胞を活性化する分子とを繋いだキメラ抗原受容体(CAR)と呼ばれる分子を患者のT細胞に遺伝子導入した「CAR━T細胞療法」も開発され、白血病などの血液のがんに対して劇的な効果を示している。今後は固形がんと言われる血液のがん以外の様々ながんへの有効性も期待されている。まだまだ発展途上ではあるが、世界的評価を得たことで研究が進み、多くの患者が救われる可能性が開いたと言えるだろう。
中面哲也氏
【中面哲也氏】
医学博士。熊本大学医学部卒業。国立がん研究センター・先端医療開発センター 免疫療法開発分野分野長。日本がん免疫学会理事、日本免疫治療学会副理事長
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