《アベノミクス終焉と消費増税などで今年も波乱続きか》’19年も相変わらず世界市場の重しになりそうな、米中貿易摩擦。12月の米中会談で調和を見せたが、沈静化には長い時間を要するとみられる
世界経済成長が鈍化する中、’19年の株式市場の展望は
昨年10月2日、ダウの市場最高値更新に続いて日経平均も8か月ぶりに2万4000円台を達成。続伸が期待されたが、直後に約4000円もの値幅で暴落。その後、12月25日には1年3か月ぶりに2万円を割れるなど軟調な相場が続いている。
「今年は、世界経済成長が鈍化するという意味での転換点になる」と話すのは元日経新聞記者で、経済評論家の三橋規宏氏だ。
「IMFが’18年の世界経済成長率予測を7月時点の3.9%から3.7%に下方修正。これは米中貿易摩擦が背景になっており、さらに激化すれば来年以降は最大0.8ポイント下振れすると警戒を示しています。OECD発表の数値でも、’19~’20年の世界実質経済成長率をそれぞれ18年の3.7%から3.5%へと縮小すると見込んでいます」
また、9年間にわたり拡大を続けている米国の好景気に伴う政策金利上昇も、ネガティブ材料だ。
「10月に起きたダウの大幅下落も金利上昇への懸念が主な原因。米国金利は’15年12月から8回、0.25%ずつ上げています。11月末にはパウエルFRB議長が長期的な利上げの打ち止めを示唆しましたが、12月開催のFOMC、そして’19年には3回の利上げが予定されています。やがて長期金利(米国債利回り)にも影響を与えると、企業業績と景気の後退の呼び水となりうる」
こうした状況が、日経平均株価にどのような影響を与えるか。
「まず’18年の最高値2万4452円を超えることは難しいでしょう。また昨今の相場はまさに『前門の虎、後門の狼』さながら。米中貿易摩擦により、ダウのみならず上海市場の影響も強く受けるようになった。また、’19年10月に は消費増税が控えており、ゼロ金利を是正するなどのサプライズ的な施策がない限り、活性化は難しいでしょう」