では、どんなトレードが有効か? 8月の暴落時に売りと買いの双方で荒稼ぎした専業トレーダーのjaguar氏が解説する。
《40年近く下げトレンドが続くリラ》’80年代以降のチャートを見れば下落トレンド一色。加えて、’18年8月の暴落まで一貫して日本国内の買いポジションが増え続けていたことがわかる。買いに偏りすぎていたことが暴落の一因か
「’80年代以降の超長期のトルコリラ/円のチャートを見ると、一度も上昇トレンドを経験していません。加えてこの間、日本国内の買いポジションは右肩上がり。だから、下げればロスカットを誘発して、さらに下げるの繰り返し。どこで売っても収益になるため、私は24円台から一貫して売り続けたんです。ただ、暴落後は強力なリバウンドがあるだろうとも予想していたので、19~15円台に40銭刻みで買い注文を入れていました。その結果、売りでも買いでも値幅が取れたのですが、それ以降は様子見。というのも、たまりにたまった買い玉がある程度解消されたうえに、トルコ中銀が利上げに動いてリラの売り圧力が弱まった。方向感が探りにくくなっています」
エミン氏は別の通貨を組み合わせる方法を推奨している。
《原油高騰リスクをメキシコペソでヘッジ》トルコリラは原油価格と逆相関にあるため、原油と正の相関関係にあるメキシコペソの買いを組み合わせるだけで、リスクオフ相場では損失は避けられないが、原油高騰のリスクをヘッジできる
「トルコリラ/円のロングと同時に、メキシコペソ/円のロングポジションを保有するのも一つの策。というのも、原油産出国であるメキシコのペソは、トルコリラと異なり、原油価格と正の相関関係にあります。世界的な株安に伴うリスクオフ相場ではリラもペソも急落してしまいますが、原油相場の急騰でリラが売られるリスクはヘッジできる。カナダドルのロングを組み合わせるのも有効ですが、ペソのほうが高いスワップも得られるでしょう」
もちろん、3月の地方選以降は、“エルドアン・リスク”が再び高まる可能性はなきにしもあらず……。当面は買い目線だが、くれぐれもレバレッジのかけすぎにはご用心を!
《’19年トルコリラ戦略》
1 3月の地方選までは下値リスクは限定的
2 逆相関にある原油価格を注視せよ!
3 メキシコペソで原油高騰リスクに備えよ
【エミン・ユルマズ氏】
トルコ出身為替ストラテジスト。17歳で日本に留学し、東大へ進学。大学院で生命工学収支を取得後、野村證券へ。M&Aなどを経験して、’16年に複眼経済塾取締役に就任
【jaguar氏】
専業トレーダー。最良とシステムトレードの二刀流。データの豊富なブログやツイッターは玄人筋からも高い評価(
http://jaguar5150.seesaa.net/)
@FXjaguar
― 2019年[FXの勝ち方](驚)戦略 ―
イラスト/平戸三平 図版/ミューズグラフィック